もくじ

2020.06.23

F.I.N.的新語辞典

第63回| 友産友消

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「友産友消」をご紹介します。

自宅の庭でニホンミツバチを養蜂している藤岡さん。友産友消ムーブメントを広げる一環として、そのミツロウを用いたエコラップ作りのワークショップなども開催している。

友産友消【ともさん・ともしょう/friendship economy】

NGO団体・ナマケモノ倶楽部が提唱するムーブメントで、友達が生産したものを友達が消費(買う・食べる・使用する)していこうという考え方。

 

この“言い出しっぺ”だと話してくれたのは、ナマケモノ倶楽部共同代表 兼 スローウォーターカフェ有限会社代表の藤岡亜美さん。現在は宮崎県に住む藤岡さんが友産友消を提唱するに至った背景は、10数年ほど前に遡ります。「東京でオーガニックカフェやマルシェの運営などに関わっていた頃、よく思っていたんです。食卓が、友達になった有機農家さんの野菜やフェアトレード食材などの、単なる“顔の見える”っていうよりはもっと近い、応援している誰かの作るもので満たされていくのってとても嬉しいことだなと。それで、こういう繋がりの形を友産友消と呼ぼうと思いついたんです。もっと昔、学生時代にフィールドワークで滞在していたエクアドルの辺境の村では、ご近所さん同士であえて違うものを畑に植えては交換して、現金がなくても豊かに暮らしていました。お金で買うのは塩と油とロウソクくらい。友産友消ほぼ100%のモデルですよね。宮崎に住むようになった今は、旬の恵みを無駄にせず、タイミング良くお裾分けするという友産友消のスキルが高まったように感じています」。

 

友産友消の魅力を尋ねると、「なんと言っても“美味しさと嬉しさ”が何十倍にもなるところ」だと藤岡さん。「友達の作ったものを料理して食べる、誰かにプレゼントする、SNSで発信する。応援はいろいろなスタイルでできます。また友達の作ったものを通して、みんな繋がり、友達の輪が広がっていくことも魅力だと思います」。

 

ナマケモノ倶楽部では、SNSで#友産友消をつけて日々食べるものをアップしたり、各地でマルシェやイベントを行ったりしながら友産友消のムーブメントを広げる活動をしています。藤岡さんも、自宅の庭で養蜂しているニホンミツバチのミツロウを用いたエコラップ作りのワークショップを主催しているのだそう。「地産地消やフェアトレードのように友産友消をひとつの文化にしていけたら、食や環境問題を捉え直すことに繋がり、人々の暮らしを豊かにするためのひとつの道しるべになるのではないかと思っています」。

もくじ

関連する記事を見る