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2021.02.14

F.I.N.的新語辞典

第81回| アナろぐ

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「アナろぐ」をご紹介します。

提供:電通 木村年秀さん

アナろぐ【あなろぐ/ana-log】

デジタルな世の中で、あえて「アナログ」なものを選ぶ、という意味の造語。動詞として使うため、「くつろぐ」のような発音になる。懐古的に昔を振り返るのではなく、今をアップデートするための、ポジティブな意味合いで使われる。

 

お話を伺ったのは、「アナろぐ」の生みの親であり、電通クリエイティブディレクターの木村年秀さん。木村さんは、DJ MOODMANとしての顔も持ち、日本のクラブミュージックシーンを長年牽引。自宅にレコードを10万枚以上保有するなど、大のアナログ好きを公言する木村さんに、「アナろぐ」という言葉が生まれた経緯について聞きました。

「15年以上前から、クリエイティブディレクターとして、先駆け的にデジタル領域を扱ってきましたが、デジタルに触れる中で、逆にアナログへと意識が向かっていることに気がつきました。この現象を言語化したのが『アナろぐ』です」。

事実、ここ数年でアナログレコードの市場が拡大しているそう。レコードだけでなく、カセットテープの復帰や、フィルムカメラの再ブームなども世界的に起きています。

「レコードやボードゲームなどは、実際に触ったりできるので、安心感がありますよね。デジタルも今後、VRやARが発達することで実在的なものになっていくと思いますが、まだまだアナログの持つリアルな感触には敵いません」。

世界的にアナログコンテンツが注目されている理由について、こう続けます。

「スマホのスクリーンからアイコンをポチッと押して曲を聴くのと、大きなジャケットからレコードを出して針を落とすのでは、体験価値が異なります。実はアナログブームのボリューム層は、20代から30代前半のデジタルネイティブ層。アナログコンテンツは我々ミドル世代にとっては懐かしくて心地のいいものですが、同様にミレニアル世代やZ世代にとっても、イマジネーションの根源として関心が高まっているのではないでしょうか」。

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