もくじ

2019.02.10

F.I.N.的新語辞典

第32回| リカレント教育

毎週一つ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。

今回紹介するのは、キャリア教育を通じて再就職を支援するプログラム・リカレント教育です。

リカレント教育【りかれんときょういく/recurrent education】

 

社会人になってから学校などの教育機関に戻り、学習してまた社会へ復帰することを目指す教育システムのこと。2007年、文部科学省の「社会人の学び直しニーズ対応教育事業委託」に136校が採択されました。その中でも唯一、約10年間にわたってリカレント教育課程を続け、女性の再就職を積極的に支援している日本女子大学文学部教授の坂本清恵先生にリカレント教育の必要性や開講の背景、プログラムの内容について教えていただきました。

 

「現在着目されているリカレント教育は、いわゆる生涯学習のような教養として学ぶだけで終わるものではなく、学んだことを仕事に還元するための教育課程です。ここ日本女子大学では、女性が生涯に渡り社会貢献をするという創設者の教育理念のもと、ブランクのある女性でも自身の能力をブラッシュアップして、社会に復帰できるよう体系的なカリキュラムを整えています」

具体的にどのような方がリカレント教育課程を受講されているのでしょうか?

 

「受講生はこの10年で変化もあり、ブランクのある女性だけではなくキャリアチェンジを目指す方、育児休暇中の方も増えてきています。再就職に必要なビジネススキルを身につけたいという方、社会へのブランクが長く、復帰をしたいけれども情報が少なく就職に不安を抱えている方、あるいは就職氷河期で非正規雇用を繰り返している方など、様々です。10年、20年先のことを考えて正社員を目指す方もいらっしゃいます。人生100年時代と言われる今、生涯にわたる自分のキャリアをどうするのかを考えている女性が多くいること。そのために、改めて学び直しをすることが非常に大事であるという認識が広がっていることを実感しています」と坂本先生。

 

約10年間リカレント教育を続けられてきた日本女子大学ですが、さらなる広がりのため、今後、どのようなリカレント教育が必要になるのかについて坂本先生は以下のように考察します。

 

「地域によって、どのようなリカレント教育が求められているかを把握する必要があると思っています。大学の開設する専門性の高いリカレント教育プログラムは多いのですが、ブランクのある方には体系的な教育が必要。私たちも、受講生のニーズや社会のニーズに合わせて柔軟に変えていけるような体制をとらなければならないと思っています」さらに、坂本先生はこう続けます。

 

「女性だけでなく、男性にも再教育が必要になっていると思います。職業人は、不断にスキルアップをしないと、社会についていけなくなることが、今後、切実な問題になっていくと考えます。AI技術の擡頭によって、生の人間が携わる仕事の根本的な見直しが始まっている今だからこそ、リカレント教育の重要性は、ますます大きくなっていくのではないでしょうか」

もくじ