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2018.05.06

F.I.N.的新語辞典

第3回| ノープロブレム品

毎週一つ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回紹介する言葉は、ものの新しい捉え方「ノープロブレム品」です。

写真:VISION GLASS JP提供

ノープロブレム品(NP品)【のーぷろぶれむひん/NO PROBLEM GOODS】

 製造過程で小さな傷や歪みが生じ、見た目に気になる箇所がありつつも使用上は問題がない製品のこと。

 これはインドの理化学ガラスメーカー〈BOROSIL〉のグラスを日本に輸入販売するVISION GLASS JPのプロジェクト「NO PROBLEM」から生まれた言葉。このプロジェクトは、今まで市場に出していなかった商品(いわゆるB品)の中から、使用上問題のない商品を、あえて「NP品(問題ない商品)」と名付け、値引きをせずに定価で販売する試みです。

 VISION GLASS JPをご夫婦で運営するフードデザイナーの小沢朋子さんに、NP品についてお話を伺いました。「NP品は、もともとインド人がよく口にする『NO PROBLEM(問題ない)』という言葉が由来です。お店でグラスを買おうとして、小さな傷があるから変えてほしいと言った時も、よく磨いた後に『NO PROBLEM』と言われ、『確かに使えるな』と思って言い返せなかったんですよ。それが一つの大きな気づきとなりました。他国では普通に使えるものとして受け入れられているレベルの製品が、日本では不良品になってしまう事実があることを痛感すると同時に、受け取る側の人間の価値観によってものの価値が決まると感じました」。日用品の適正な品質とは何なのか?を考え始めた小沢さん。現在、全国からNP品を集めて定価で売る「NP百貨店」を計画中とのこと。「作る人、売る人、買う人、使う人、さまざまな立場の人が日用品の品質について考えるきっかけになるといいですね。そして、自分にとって必要十分な品質を見極め、納得した上で購入するという行為が広まってほしいです」。

 製造過程で必ず生まれてしまうB品問題はVISION GLASSに限らず、あらゆるものに共通する問題。買う行為を通してさまざまな日用品の背景を知ることは、暮らしの中に寛容さを取り入れ、日頃の自らの生活を見直すきっかけにもなるでしょう。

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