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2020.04.30

F.I.N.的新語辞典

第61回| 応援広告

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「応援広告」をご紹介します。

写真提供:日プ練習生応援委員会

応援広告【おうえんこうこく/support advertisement】

一般人が誰かを応援するために出稿する広告のこと。韓国ではアイドルの誕生日や周年記念を祝う、またはイベント告知などのためにファンによる応援広告出稿が定着しています。日本で知られるようになったのは、2019年の秋から冬にかけて放送された「PRODUCE 101 JAPAN」(IZ*ONEなどを輩出した韓国の人気オーディション番組「PRODUCE」シリーズの日本版)がきっかけ。今回は同番組に出演する練習生を応援するために、大阪メトロ梅田駅ホーム、JR吉祥寺駅南北自由通路、アインズ&トルペ新宿マルチビジョン新宿の3カ所に広告を出した日プ練習生応援委員会の担当者にお話を伺いました。

 

K-POPアイドル好きのメンバーが多いため、応援広告を出すという発想は自然なものだったという日プ練習生応援委員会。日本では駅広告を個人で出せないため団体を設立し、活動実績を示すためのHPを作ることから計画はスタートしました。日本では事例がほとんどない広告形態だったため、掲出までにはさまざまな苦労があったといいます。「広告を掲載する媒体主様と私たちを繋いでくれる広告代理店様探しも大変でしたが、最も苦労したのは媒体主様の審査を通過することでした。媒体主様のほとんどは商業目的以外での依頼を受け付けていないため、練習生は芸能人ではなく一般人であり商品価値がないとの理由から審査を通してもらえなかったり、そもそも企業や商業団体以外からの依頼を受け付けていなかったり。また、デザインした広告素材の提出後にNGが出たり、掲出内容変更の依頼があったりと、苦労を挙げるとキリがないくらいです」。

 

それでも実際に広告が掲出されたときには「SNSでたくさんの方の好意的な反応を見たり、実際に現場で嬉しそうに広告を眺める方たちの表情を見ると、それまでの苦労が一気に吹き飛ぶくらい嬉しかった」と担当者。「掲出した練習生の方が、広告と一緒に撮影した写真を“辛い時にとても力になった”というコメント付きでSNSに掲載してくれたことも、非常に嬉しい思い出です」。

 

「PRODUCE 101 JAPAN」放送中は、日プ練習生応援委員会だけでなく、さまざまなファン団体が駅やアドトラックなどの車両、SNSなどのデジタル広告を利用して応援広告を出し、話題になりました。個人の“応援したい”という気持ちを形にして発信できるこの手法は、日本でも広がっていきそうです。

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