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2020.10.09

F.I.N.的新語辞典

第71回| IoA

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「IoA」をご紹介します。

資料提供:凸版印刷

IoA【あいおーえー/Internet of  Abilities

 

人間がインターネットに繋がり、人の能力(アビリティ)が強化されること。モノのインターネットである「Internet of Things」(IoT)からさらに発展した「能力のネットワーク」を意味する概念。

 

「IoAはあくまでも人間主体の考え方で、能力を活用するのは人間。そこがモノ主体のIoTと大きく異なるところです」。そう話すのは、凸版印刷SIC先端表現技術開発本部係長の荻野孝士さん。凸版印刷では、2016年より、IoAの提唱者である東京大学の暦本純一教授とともに共同研究を開始。2019年4月に「IoA仮想テレポーテーション®️サービス」をローンチしました。

「IoA仮想テレポーテーション®」とは距離と時間を超え、現地の人員やドローン等のデバイスを使って自分がそこにいるような感覚で遠隔体験ができるサービスです。これにより、空を飛ぶなどの“体験の拡張”、遠方の人に会う“存在の拡張”、職人に習うなどの“能力の拡張”が可能になりました。弊社から提供するのは、カメラやドローン、アバターロボットなどのカメラデバイスと、大型ディスプレイやVRウインドウなどの視聴環境、それらを繋ぐクラウドシステムです。

実際の導入事例として、福島県双葉町出身の小学生を対象とした「バーチャルふるさと遠足」があります。福島第一原発事故で帰還困難区域となった双葉町出身の子どもたちに、生まれ故郷を見せてあげたいという思いから実現しました。いわき市の小学校と双葉町を遠隔接続し、ドローンにジャックインし空から町の様子を見学、除染作業者の方にジャックインし除染作業を間近に見ながら復興の様子を学ぶなどしました。

教育以外でも、地方創生や防災、高齢化社会、働き方改革、医療格差解消などへの応用が期待されています。「コロナと共生していく中、IoAはニューノーマルを形成する重要なキーワードになってくるのではないかと思っています」と荻野さんは話してくれました。

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