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2019.04.21

F.I.N.的新語辞典

第38回| インテリジェント・インフィル

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は、ICT(情報通信技術)と建築空間を融合させたインテリジェント・インフィルをご紹介します。

インテリジェント・インフィルの実験風景

インテリジェント・インフィル【いんてりじぇんと・いんふぃる/intelligent infill】

 

ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの情報技術を組み合わせた、インテリジェンス(知性)を持つインフィルのこと。インフィルとは、建築空間を構成する要素のひとつで、床や壁、天井などの内装を構成するパーツを指します。

 

東洋大学情報連携学部情報連携学科の渡邊朗子教授は、高齢者を支援するインテリジェント・インフィルの研究に力を入れています。「高齢者の生活のニーズを調査したところ、コミュニケーション、セキュリティ、生活サポートの3点のニーズが高いことがわかりました。現在はこれら3つのサービスを提供できるインテリジェント・インフィルの開発を目指しています」。

 

例えば写真はインテリジェント・インフィルの実験風景ですが、このようにテレビ画面上にAIを使ったアバターを表示し、ユーザーと会話をするシステムも開発中です。コミュニケーションが生まれるだけでなく、例えば出掛ける時間や薬を飲む時間をアバターが教えてくれるなど生活サポートの面でも役立ちます。また、人感センサーやお風呂、トイレなど住宅設備機器と組み合わせることで高齢者支援の可能性はますます広がりそうです。

 

「インテリジェント・インフィルによって、賢く快適に、また優しく人間生活やサステナブルな地球環境をサポートできる建築空間を創造することを目指しています。例えば、今後日本ではますます高齢化や独居化が進むといわれています。こうした現在を含む未来で起こるさまざまな住居内での問題を、インテリジェント・インフィルが解決できるようにしたいと考えています」。思い描く未来像について、渡邊教授はこう教えてくれました。

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