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2022.07.04

F.I.N.的新語辞典

第85回| ソバーキュリアス

隔月でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「ソバーキュリアス」をご紹介します。

ソバーキュリアス【そばー・きゅりあす/Sober Curious】

「sober(シラフ)」と「curious(好奇心)」を組み合わせた造語で、「お酒を飲まない生き方」のことを指す。英国出身のジャーナリスト、ルビー・ウェリントン氏の著書『飲まない生き方 ソバーキュリアス Sober Curious』(方丈社)で、はじめて提唱された。その後、ムーブメント的にとしてイギリス、アメリカをはじめ、世界各国へと広がっている。

 

今回は、東京・渋谷にあるノンアルコールバー〈Bar Straw(バー ストロー)〉主催、バーテンダーでもある赤坂真知さんに、ソバーキュリアスが注目される理由や、ムーブメントに対するご自身の考えについてお話を伺いました。

 

開口一番、「ソバーキュリアスは思想だと思います」と赤坂さん。なぜなら、ソバーキュリアスは体質的にアルコールが飲めない人が生活に取り入れるライフスタイルではなく、かつては飲んでいたものの、健康上や社会生活における理由から、自らの意思で飲酒を辞めた人のことを指すからだそう。

 

「アルコールは依存度も高いですし、健康に悪影響を与える側面もあると思います。次の日スッキリ目覚めたい、二日酔いしたくないなど、健康面からソバーキュリアスを選ぶ人は多いのではないでしょうか。それから、お酒の場が嫌だから、という人も少なからずいると思います。飲み会の場でハラスメントは起きがちです。お酒の苦手な人に、お酒を飲むことを強要したり、ついつい無礼講になったり……」

 

ソバーキュリアスを選び、実践する人のことを「ソバキュリアン」と呼ぶと、ルビー・ウェリントン氏の著書には記してあります。日本ではどうなのでしょうか。

 

「僕のお店で、『自分はソバキュリアンだ』と言う人を見たことがないですね(笑)。個人的には、飲めない人、飲まない人、のためにやっている気持ちはなく、ドリンクの可動域、裾野を広げていきたいという想いで活動しています」

〈Bar Straw〉で提供されるノンアルコールカクテル。ソバーキュリアスの人々も選択肢のひとつになっている。

〈Bar Straw〉に足を運ぶお客さん全員が、 “お酒を飲まない人“というわけではないそう。今日は飲まない、これから予定があるから飲まない、単純に飲み物として興味がある、と言う理由で訪れる人のほうが多いのだとか。

 

「ソバーキュリアス=ノンアルコールカクテルではありません。あくまで、生活からアルコールを排除することなので、普段はお茶やコーヒーなど、お酒でなければどんなものを飲んでいてもOK。アルコールが入っていない飲料のひとつとして、ノンアルコールカクテルがあるというイメージです。飲むものに選択肢が増えるのはいいことですよね」

 

ソバーキュリアスという言葉が認知されることで、お酒が好きな人、嫌いな人、飲めない人、さまざまな背景や意思を持った人が、よりラクな気持ちで、自分のスタンスを選べる社会になるかもしれません。

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