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2018.12.25

F.I.N.的新語辞典

第28回| LIMEX

毎週一つ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。

今回ご紹介するのは、石炭石を主原料とし、紙やプラスチックの代替となる新素材「LIMEX」です。

LIMEX【らいめっくす】

紙やプラスチックに代わる新素材「LIMEX」は世界的に埋蔵量が多く、日本国内で自給のできる数少ない鉱物資源“石炭石”を主原料としています。

LIMEXを使用して開発された紙やプラスチックの代替製品は、水や木をほぼ使用せず、石油の使用量も大幅に削減するだけではなく、従来の製品に比べると経年変化に強く半永久的に高効率なリサイクルも可能にしました。LIMEXは「エコロジー」と「エコノミー」、その両立を実現した新素材と言えます。

このLIMEXを開発した株式会社TBMでは、具体的にどのような取り組みの中で活用しているのでしょうか。その実用例を教えていただきました。

「LIMEXは使用済みの紙代替製品(LIMEXシート)を回収し、プラスチックの代替製品をつくることができます。その実現には使用済みのLIMEXの回収が重要なポイントとなるのですが、例えば、弊社ではサッカー大会の会場横断幕にLIMEXシートを使用し、大会終了後に回収した横断幕からグッズの製作・販売を行うといったスポーツイベントやB to Bでの取り組みを行っています。一般的に元の製品よりも次元・価値の高いものを生み出すリサイクルのことを『アップサイクル』と呼んでいますが、LIMEXもその一つであると言えるのではないでしょうか。その他、2016年から2030年までの国際目標であるSDGsの一つ、「つくる責任つかう責任」に貢献するため、福井県鯖江市、慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科と協力して資源を最大限に活用し、資源の価値を持続的に再生、再利用し続けるサーキュラー・エコノミーの啓発や市民参加型のアップサイクルモデル実証なども進めています」

2018年11月時点でLIMEXの導入社数は3,000を越えています。主原料が世界中のあらゆるところで手に入るという点でも国内外で高く注目されているLIMEXに、今後どのような可能性を感じているのでしょう。

「LIMEXは世界の水資源の不足や森林資源の枯渇問題、グローバルで深刻になっているマイクロプラスチック問題への貢献が可能です。また製紙工場とは異なり、製造工程で水をほとんど使用しないため、海沿いや川沿いなどの立地的制約を受けず工場を建てることができるようにもなります。中東地域のように水や森林資源が少なく、紙を輸入に頼っている国や内陸部などでもコンパクト(地産地消)なサプライチェーンが構築可能なため、世界各地で新たな産業と雇用機会が生まれることが期待できるのではないでしょうか。私たちはLIMEXによる素材革命で、よりサステナブルな社会の構築に寄与し、循環型の社会の実現をめざしています」

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