2020.12.17

わたしの「しない贅沢」。<全4回>

第1回| 〈IKEUCHI ORGANIC〉広報・牟田口武志さんの場合

目まぐるしいテクノロジーの進化とともに、さまざまな情報がひっきりなしに目に入る今の世の中。現代における贅沢を考える上で、暮らしの「余白」をつくることが、毎日の生活を豊かにするのではないでしょうか。各界で活躍する方々に、気持ちをリセットしたい時や自分自身を整えたい時などに行う、「〇〇しないこと」をお聞きすることから、真の贅沢とは何なのか、一緒に考えていきます。

今回お招きしたのは、オーガニックコットン100%でつくった今治タオルを販売している「IKEUCHI ORGANIC」で広報を務める牟田口武志(むたぐちたけし)さん。大手外資系企業から転職し、自社オウンドメディア「イケウチな人たち。」の立ち上げに携わるなどマルチに活躍する牟田口さんに「〇〇しない贅沢」を伺いました。

 

*1 グリーン電力
グリーン電力とは、太陽光、風力、バイオマス、水力、地熱など、自然を利用した「再生可能エネルギー」で作った電気のこと。IKEUCHI ORGANICの製品のすべての工程を、風力発電によるグリーンエネルギーを用いて行っている。

写真提供:牟田口武志さん

<牟田口武志さんのしない贅沢>

不織布のマスクを着けない。

季節や体調に関係なく、誰もがマスクを着けるようになりました。コロナが世界を席巻する直前、日本でもマスクの買い占めが起こり、簡単には手に入らなくなりましたよね。とりあえずマスクを着けなくちゃいけない状況で、自分の意思でプロダクトを選ぶこともできず、ようやく手に入れたのが、不織布のマスクでした。しかし、毎日着けているうちに、それまで丈夫だと思っていた肌が荒れ始め、化学繊維独特のにおいも気になるように。しかも「使い捨て」なので、自分の体だけでなく、環境にも負荷を与えている……。IKEUCHI ORGANICの理念として、「最大限の安全と最小限の環境負荷」を掲げているため、不織布のマスクを使うことは、会社はもちろん自分自身の姿勢とも真逆のものになってしまう。そう考えると、これまで楽しみだった外出さえもストレスになってきたんです。

そんな折に、もあって、自社でマスクをつくることになりました。赤ちゃんでも使用できるオーガニックコットンでつくったマスクなので、着け心地は最高。今では寝る時も着用しているほど(笑)。朝起きて、自分が納得して選んだものを身に着けると、その日1日を気持ちよく過ごせると思っています。不織布のマスクをやめたことで、通勤などで外に出ることが苦にならなくなり、以前と同じような生活が少しずつ送れるようになってきました。またこのマスクをつけるようになって以来、出先で会った方に「そのマスクどこで買ったんですか?」と、声を掛けられることもしばしば。マスクを変えたことで、新しいコミュニケーションのきっかけにもなっています。1年前は、こんな世の中になるとは誰も想像ができませんでしたよね。未来は予測できないからこそ、どんなことが起きても自分の足で立ち上がれるよう、多くの選択肢を持っておきたいと思っています。

Profile

牟田口武志さん

IKEUCHI ORGANICの広報兼マーケティングディレクター。大学卒業後、映画製作会社に就職、その後CCC、Amazonで活躍し、2015年IKEUCHI ORGANICに入社。オウンドメディア「イケウチな人たち。」を立ち上げ、タオルづくりに携わる人々を取材している。

note:note.com/mutagu
Twitter:@MUTAGU

 

編集後記

贅沢というと、特別なことのように感じるかもしれません。しかし、牟田口さんのように「身の回りのことに少しだけこだわってみる」という贅沢の仕方もあるのだと気付かされました。毎日使うシャンプーにこだわってみたり、毎日食べるお米にこだわってみたり。今日から真似できそうな「贅沢」のヒントをいただくことができました。

(未来定番研究所 菊田)

わたしの「しない贅沢」。<全4回>

第1回| 〈IKEUCHI ORGANIC〉広報・牟田口武志さんの場合