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2020.08.27

F.I.N.的新語辞典

第68回 ギグエコノミー

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「ギグエコノミー」をご紹介します。
写真使用元:PAKUTASO

ギグエコノミー【ぎぐえこのみー/Gig Economy】

インターネットを通じて単発の仕事を受注・発注する経済システムのこと。また、このスタイルで働く人たちを、「ギグワーカー」と呼びます。「ギグ」とは、ライブハウスでの短いセッションや単発のライブを指す音楽用語。そこから派生し、単発仕事に従事する人やそのシステムにも「ギグ」という言葉が用いられるようになりました。

今回は、消費トレンドや生活者のライフスタイルの変遷に詳しい、日本経済新聞社の編集委員・石鍋仁美さんに、ギグエコノミーが広まった背景や今後の課題などについて話を伺いました。

「ギグエコノミーを語る上で欠かせないのが、ギグワーカーの存在です。代表例としてフードデリバリーサービス『ウーバーイーツ』の配達員などがあります。最近だと動画需要が膨らんでいるので、映像撮影や動画編集などクリエイティブ系の仕事も多いですね。ギグワークという働き方が広まった背景としては、プラットフォームの登場というのが大きいと思います。『ランサーズ』のような、単発の仕事を受注・発注できるプラットフォームができたことにより、一人ひとりの活躍の場が増え、市場も広がりました」。

プラットフォームを介して仕事をするメリットは、「可能性が広がること」だと石鍋さんは言います。「働く側にとっては、仕事を探しやすくなったのはもちろん、自分の技術を生かせるというのも大きなメリットだと思います。趣味だったものやことに価値ついたり、いろいろな人に喜んでもらえたりする可能性がありますよね。それから、発注する側も、その時々に必要な人材が見つけやすくなり、発注や契約もスムーズになりました」

一見いいことづくしのようにも思えますが、「デメリットもある」とのこと。例えば、ギグワーカーが特定の取引先とのみ契約をしていた場合、その企業が倒産すると、ギグワーカーの収入はパタリと途絶えてしまうことも。「倒産や災害など非常事態の際に、働く側の立場が弱いことがデメリットのひとつです。今後のギグエコノミーの発展のためには、働く人の権利の保証が大切です」と石鍋さん。「非常事態が起きた際の収入の保証や、完遂した仕事への支払い保証など、ギグワーカーの権利がきちんと保証されるかどうかというのが、ギグエコノミーが健全に発達するかどうかの大きな鍵だと思います。パラレルにキャリアを積むことは、働く側にも発注する側にとってもプラスの面が多いです。いろいろな人が才能をフルに活用して仕事をすると、社会全体がいきいきとしますし、価値のある生産物が生まれてくるという点で、個人や企業のみならず、国や社会全体にとっても、非常に可能性が大きい雇用のあり方です」。

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