2020.07.22

わたしが通いたいお店。<全6回>

第2回| イラストレーター・Adrian Hoganさんの場合

インターネットの普及により、どこにも出向くことなく、欲しいものが何でも手に入るようになった今の時代。一方で、「あの店員さんのおすすめを聞きたい」「このお店に行けば、必ず欲しいものに出会うことができる」などの理由で、どうしても足を運んでしまうお店が、誰にでもきっとあるのではないでしょうか。各界で活躍する方々に、頻繁に足を運んでいるお店をお聞きすることから、未来に残したいお店について一緒に考えていきます。今回お招きしたのは、オーストラリア・メルボルン出身のイラストレーター、Adrian Hoganさん。日本の歌謡曲や昭和の文化が大好きで、日本らしいスピリットを求めて、台東区・浅草で暮らすAdrianさんに、お話を伺いました。

(イラスト:Adrian Hogan)

数年前、雑誌の仕事で浅草の地図のイラストを描いた時から気になっていた、浅草にある喫茶店〈ロッジ赤石〉。引っ越してから思い出して、散歩がてら行ったのがきっかけで通うようになりました。実は東京の前に、1年くらい青森に住んでいたのですが、その当時は先輩に昭和の歌謡曲や文化を教えてもらったり、お年寄りと話したりする機会が多かったんです。だから、カウンターに座ってお店の人や常連さんと話していると、不思議と懐かしい気持ちになりますね。いつも注文するのは、コーヒーとエビサンド。メニューはたくさんありますが、エビサンドが大好きでつい頼んでしまいます。コーヒーももちろん美味しいですよ。メルボルンのコーヒーはフルーティーな味が多いけれど、サイフォンで淹れた濃いめのコーヒーは、ここで初めて飲んで好きになりました。僕はコーヒーを飲みながらスケッチすることをルーティンにしていて、ここでもコーヒーを飲みながら絵を描きます。最初に描いたのは、サイフォン。あと、黄色いおしぼり(笑)。それまで白いおしぼりしか見たことがなくて、珍しい!と思って。〈ロッジ赤石〉は僕にとって、浅草のソウルと昭和の雰囲気が感じられる刺激的な場所。テーブルがゲーム機になっていたり、壁に時計がたくさん飾ってあったりと行くたびに新しい発見があるし、昭和の歴史と繋がっている気分にもなれます。新しいお店ももちろん好きだけど、古くから続いているお店にはいろいろなストーリーがあるから魅力的だなと思います。海外からの友人も必ず案内するほど好きなお店です。

〈ロッジ赤石〉

住所:東京都台東区浅草3-8-4

電話番号:03-3875-1688

営業時間:9:00〜24:00

定休日:毎週月曜

※店内は全席禁煙。店外に、喫煙スペースあり。

※新型コロナウィルスの影響により、2020年7月時点では短縮営業中。通常時の営業時間は、火曜〜土曜は9:00〜26:00、日曜は9:00〜25:00。

Profile

Adrian Hogan

オーストラリアのメルボルン出身。モナシュー大学卒業。

雑誌、広告、書籍、壁画、絵コンテ、など幅広く活動中。

主な仕事に、雑誌『POPEYE』、雑誌『TARZAN』、Starbucks Reserve Roastery Tokyo壁画、Lexus広告など。

 

Website:www.adrianhogan.com

Twitter:@adehogan

Instagram: @adehogan

編集後記

Hoganさんが教えてくれた、ロッジ赤石の裏ワザ的な楽しみ方。喫茶店といえば昼間にコーヒーを飲みに行く場所というイメージがありますが、Hoganさんのおすすめは、夜。居酒屋の帰り道に、クリームソーダやお茶を飲みに立ち寄るのもおすすめなんだとか。こんな風に、いつでもふらりと立ち寄りたくなる心地よさをたたえている、まるで「家」のようなお店だからこそ、いつの時代も人々の心を捉えて離さないのかもしれません。

(未来定番研究所 菊田)