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2020.07.10

谷中日記

第74回| 未来定番研究所のルーツをたどって、考えたこと

コロナウイルスによる東京国立博物館お休みの期間を経て、6月30日に始まった「きもの展」。鎌倉時代の小袖から、現代のきものに至るデザインの移り変わりを、一気にたどることができる見応え満点の展示です。

きものは、もともと「小袖」という下着として着られていたものが、表着として着られるようになったものなんだそう。
鎌倉時代や室町時代の表着や小袖を見て驚いたのは、形が現代のきものとほぼ変わっていない、ということ。「身八つ口」とよばれる脇の下の縫い止まりがないなど、細かな違いはあるものの、基本的な形は同じです。
基本的な形は変わらねど、時代によってデザインは目まぐるしく変わっていきます。きものの形の特徴は、「平面」であるということ。その平面の広いスペースを生かして、時代ごとに個性豊かなデザインが生まれてきます。
たとえば、豊臣秀吉の時代には、紅や萌黄色といった明るい色づかいと、おおらかな草花模様が好まれたそうですが、江戸時代には、暗色系の色づかいと小柄な模様が好まれるようになり、きもののデザインにも変化が起こったそうです。

きもの展での展示のうち、いちばん多いのが江戸時代のきものです。そのなかでも松坂屋コレクションが所蔵するきものが20点以上本展に出品されており、松坂屋が呉服店として活躍していた歴史を体感できました。また、松坂屋や大丸など、当時の大手呉服店が、当時の美人に各お店イチオシのきものを着せ、その姿を描いた喜多川歌麿の浮世絵も展示されています。これは当時の広告のようなものでしょうか。未来定番研究所のルーツである、松坂屋や大丸が、江戸時代からずっとお客様にご愛顧いただいていることが感じられ、これからもお客様に価値を提供し続けるにはなにをすべきか、考えさせられました。

新しい情報やテクノロジーを学ぶことも大切ですが、ときには歴史やルーツを振り返ってみるのも、新たな思考のきっかけになると思えた、そんな展示でした。

(未来定番研究所 菊田)

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