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2020.04.27

谷中日記

第53回| 今、ここに眠っている価値

上野公園はすべての美術館・博物館が閉まっています。
東京国立博物館で開催予定であった「法隆寺金堂壁画と百済観音」は早々に中止が確定し、
百済観音様は、奈良に戻り、コロナ退散を祈って下さっているはずです。
東京オリンピックイヤーで、素晴らしい企画展が数々開催を予定していただけに非常に残念です。

中でも、西洋美術館で開催予定であった「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」には、ゴッホの《ひまわり》が来日していますが、

まったく日の目を見ていません。
花瓶に生けられたひまわりは7枚しかなく、その中でも最高の1枚と言われている作品です。

オーギュスト・ロダン作「カレーの市民」 西洋美術館の庭にあるブロンズは全て本物と聞いてから、よく見に来ます。

しかしながら、このロダンの彫刻達、コルビジェ先生の建物を見ていると、この中に存在するひまわりを創造する事が、私にはできます。(笑)

 

ゴッホの《ひまわり》をネットで画像や映像で見るよりも、昨年秋、公園内の上野の森美術館で開催された「ゴッホ展」で

間近に見た《糸杉》や《薔薇》の輝くような色、盛り上がった絵の具の迫力など、

ゴッホの残像から自分の頭に描く創造の《ひまわり》の方がまさっています!

 

科学博物館も、完全に閉まっていますが、最近、館内をVRで見て回れるサービスをホームページで始められました。

ロールプレイングゲームのように、博物館を巡る感覚は、次に訪れるまでの、模擬演習にはもってこいですが、やはりリアルの迫力にはとうてい及びません。

東京の一角に、これだけ世界に通用する美術館がそろっている幸運を、見れなくなってそのありがたさに気付かされます。
リアルに素晴らしいアート作品を見ることは、人生を豊かにします。

 

私のアート欠乏症はバーチャルではとうてい解決できず、この状況が終焉した際は、上野の美術館を飛び越えて、是非、ロンドン、パリの美術館も訪れたい心境です。
(未来定番研究所 出井)

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