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2020.03.20
F.I.N.的新語辞典
隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は「メモリースポーツ」をご紹介します。
日本で行われたメモリースポーツの大会の様子。
メモリースポーツ【めもりーすぽーつ/memory sports】
トレーニングによって記憶力を高め、競う競技。イギリス発祥。数字、トランプ、単語、年号など十種類の種目があり、選手はメモリーアスリートと呼ばれる。
平田直也さんは1分で30人の名前を記憶したり、ランダムに並んだ数字を5分間で200桁以上覚えたりすることができるメモリーアスリート。今回は、オンラインで世界中のメモリーアスリートと対戦できるメモリーリーグで世界ランク1位の記録をもち、選手を育成する塾Brain Sports Academyで講師も務める平田さんに、メモリースポーツの魅力について伺いました。
「まず、非常に平等な競技であることが魅力だと思います。メモリースポーツの大会では、国籍や性別、年齢の区別はありません。誰もが同じ問題に挑み、同じ土俵で戦えるのです。選手同士の交流も盛んで、私も日本のシニアの選手と一緒に練習をすることもあれば、海外のキッズの選手とチャットで戦略を相談し合うこともあります。頭脳で競い合うので、体格も影響しません。また、よく勘違いされるのですが、元から持っている記憶力も関係ないんです。選手たちは後天的に訓練して身に着けた記憶術を使って競っているため、努力した量がそのままパフォーマンスに影響します。メモリースポーツを始めて1週間も練習すれば、見違えるほど記憶できるようになり、そのフィードバックの早さも魅力です。自分の脳みそをうまく使えていくようになるということは、なかなか他のスポーツでは味わえない感覚だと思います」
1991年にロンドンで第1回世界記憶力選手権が開催されて以降、ヨーロッパで盛んだったメモリースポーツ。日本でもこの1年ほどで盛り上がってきていると平田さんは話します。
「おそらく現在日本人でメモリースポーツをやっている方の半分以上は、競技歴が1年未満だと思います。日本人選手が大会に参加するようになったのは10年ほど前で、私が競技を始めたのは4年前でしたが、その頃でも国内に競技者は10人程しかおらず、当時はそれぞれが記憶術を独学で学び、一人で練習をしているという状況でした。日本開催の大会も年に2回ほどしかなく、基本的に海外遠征をして大会に参加していました。しかしここ数年、オンラインでの交流が増えたり、練習教材が増えたり、メディアで特集されたりするにつれ、競技人口は10倍以上になったと思います。国内で開かれる大会も、今では年に10回ほどに増えています」
ちなみに、メモリースポーツができた当初はヨーロッパ選手が強かったそうですが、今では中国とモンゴルが強豪国として知られているのだそう。近年の盛り上がりを考えると、日本がそのレベルに達するのも夢ではないのかもしれません。「今後はもっと“記憶術”というものが身近になって、テスト前や仕事で使ってみるとか、日常で誰もが当たり前のように“記憶術”を使える世界にできたら良いなと思っています。そのためにはメモリースポーツの普及が一番大切だと思っていますし、この競技の楽しさをもっと広めていきたいです。いつか日本でメジャーなスポーツになって、世界チャンピオンが生まれればとても嬉しい。そんな未来が来るよう、これからも競技の魅力を伝え続けたいです」
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