2018.07.01

F.I.N.的新語辞典

第11回 中量生産

毎週一つ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回紹介する言葉は、ものづくりに携わる人々を豊かにする「中量生産」です。

大治将典さんが共同主催する、中量生産品を専門とした商品展示会〈ててて見本市〉。

中量生産【ちゅうりょうせいさん/medium volume productio】

少品種多量生産と多品種少量生産の中間に位置し、品種も数量もそれほど多くなく、また極端に少なくない生産方式のこと。

今、さまざまな業界で「大量生産、大量消費の時代は終わった」と言われ、ドイツや米国では、産官学をあげてスマートファクトリー(IoTなどを用いた先進的なものづくり)の取り組みが進むなど、さまざまなものづくりの現場で生産面が見直されています。さらに消費者ニーズも多様化している中で、適正な生産とは一体何なのでしょうか。今回、「作り手」「伝え手」「使い手」の三方をつなぐことを目標に掲げ、展示会やワークショップ、勉強会、交流会などを開催している〈ててて協同組合〉の共同主催者である、デザイナーの大治将典さんにお話を伺いました。

日本のさまざまな手工業の製品デザインから、パッケージやグラフィックなどを製品の生い立ちを活かしながら統合的に手掛ける大治さん。中量生産について、次のように話します。

「ただ単純にものの生産量だけが大事なのではありません。過去から引き継いだ知恵を現代に活かし、個人の気付きをコミュニティや世界と共有すること。そして、消滅、枯渇しそうな技術や素材を次世代に引き継ぎ、形骸化したものやことを新たな視点で実体化する。これらの視点から、適正な生産量という意味合いで『中量生産』という言葉につながってほしいですね」。

経済を主体にしたエコシステムによって、大量生産・大量消費の中で分断された作り手と使い手は再びつながり、ものづくりに関係する全ての事柄が生き生きとする世界を創っていきたいと大治さんは話します。

大量でもなければ少量でもない中量生産は、人々の暮らしに沿うようにしてゆとりを与え、日本、そして世界の、夢のある、新たなものの創造につながるのでしょう。

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