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2019.06.04

F.I.N.的新語辞典

第41回| アドレスホッパー

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は、新しいライフスタイルであるアドレスホッパーをご紹介します。

アドレスホッパー【あどれすほっぱー/address hopper】

 

address(住所)とhopper(次々と移動する人)を組み合わせた造語。特定の拠点に留まらず、土地を移動しながら生活する“生き方”を選んでいる人のこと。このライフスタイルは世界中で広まりつつあり、日本にも17万人以上のアドレスホッパーがいるといわれています。今回は先駆者である市橋正太郎さんにお話を伺いました。

 

アドレスホッパーには、家を持たずに毎日転々と移動する人もいれば、各地に家を持ち多拠点居住を行う人もいます。市橋さんの場合は、どのようなスタイルでアドレスホッピングを楽しんでいるのでしょうか。まずはアドレスホッパー歴を教えていただきました。

 

「私がアドレスホッピングを開始したのは、2017年12月末です。当初はサラリーマンだったこともあり、東京近郊の町を中心に。2018年8月にフリーランスとして独立してからは、完全に場所に囚われずに世界の町をホッピングしています。東京近郊では高円寺・浅草・鎌倉がお気に入りで、海外ではフィンランドやエストニアなど北欧諸国、インドやベトナムなどアジア諸国が好きです。私の場合はひとつの都市に1週間ほど滞在することが多く、その際も毎日違う宿にすることがほとんどです。そのほうが町の中の様々なエリアに住むことができ、より立体的に町を理解することができるからです」

 

では、身をもって感じられているアドレスホッピングの魅力とは何なのでしょうか。

 

「醍醐味は、何よりも“コミュニティダイブ”にあります。その土地に根付くローカルなコミュニティの中に飛び込んで、ディープなカルチャーや価値観を肌で体感する。それによって自分の内面がより多様に拡張していく感覚が得られます。そのために、移動先では積極的に人に会ったり、仲良くなったり、また事前に紹介してもらったりと、コミュニティに溶け込む工夫をしています」

 

市橋さんはアドレスホッパーという生き方をより深め、広げることを目指して今年3月にAddress Hopper Inc.を設立しました。またクラウドファンディングを利用し、雑誌『HOPPING MAGAZINE』を今夏に創刊することが決定しています。

 

「いかなる障壁もなく、誰もがこのライフスタイルを選択可能な世の中になることで、人生の選択肢が増え、より豊かに生きられる人が増えると考えています。また、この日本初のライフスタイルを世の中に発信していくことによって、ひとつのカルチャーインフラにまで昇華させたいと思っています。近年、バックパッカーやフリーランスなどの概念が広がることによって、個人の自由は拡張されました。アドレスホッパーもそういった概念基盤になることで、住むことや移動することがもっと自由になると考えています」。会社設立、そして雑誌創刊にかける思いを、市橋さんはそう教えてくれました。

 

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