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2019.07.22

F.I.N.的新語辞典

第43回| ネオ・デジタルネイティブ世代

隔週でひとつ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回は、ネオ・デジタルネイティブ世代をご紹介します。

ネオ・デジタルネイティブ世代【ねお・でじたるねいてぃぶせだい/neo digital native】

学生時代からパソコンやインターネットなどのデジタル環境が当たり前にあり、デジタル機器を使いこなすデジタルネイティブのなかでも、特に1996年以降に生まれた若者(2015年前後に大学入学)のこと。今回は、金沢学院大学文学部教育学科で教員を目指す学生を指導し、ICT(情報通信技術)を活用した教育に取り組んでいる今田晃一教授に、教壇に立たれるなかで感じているネオ・デジタルネイティブ世代の特徴を教えていただきました。

 

「特徴は、モバイルネットを駆使して動画情報を自在に操ること。機械的親和性が高く感覚主義、快楽原理の傾向があること。言葉より映像・音楽を重視し、映像処理優先脳(朝から晩まで頭の中が動画漬け)に切り替わっている感があること。社会への信頼は高く、つながり志向、私生活中心主義の傾向があるということです。これらの傾向は中高生にも及び、もはや当たり前となっていて、本人たちも特徴・特質とはとらえていないでしょう。そして今はAIとどう折り合いを付け、どう付き合っていくのかをこれも感覚的に自身の重要な課題ととらえているようです」

 

今田教授は、今の大学生は“いかに効率よく遊ぶか”について、今までの世代と比べて要領がよくこだわりも強いと実感しているのだそう。「AI機能をもつスマホなどを駆使して、日常生活においても“手際よく高速に色々な情報を得て作業を完了する”ことに長けており、その手際の良さは鮮やかです。そして余った時間を遊びの充実のために有効に使いたいと切望しているようです。これは、多くの仕事がAIにとって代わられるであろう今後、逆に人間にしかできないことは何かという問いであり、人生100年時代の“働き方改革”にも繋がる重要な命題です」

 

これは、教育・教員養成機関の在り方にも変革をもたらすと、今田教授は考察します。「優秀なホワイトカラーを多く輩出する大学に多くの進学者を送り出すことを使命にしていた高等教育機関は、その在り方を根本的に変える意識改革を迫られます。実際、ネオ・デジタルネイティブ世代の進路選択にもその傾向が出てきています。今の大学生がいかに効率よく遊ぶかにこだわっているのは、まさにAI時代をどう生きるかの正しい模索ともいえるでしょう」

 

ネオ・デジタルネイティブ世代である学生を対象に、その良さや特性を生かしたアクティブ・ラーニング(課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学び)を実践している今田教授。ネオ・デジタルネイティブ世代であり、これからの未来を担う子供たちの教育の在り方を考える際には、“AIとの協働”というキーワードを上位概念として置くことで、本当に身に付けさせたい学力、資質・能力を意識した授業デザインに取り組むことが大切だと話してくれました。

 

「今の幼稚園児は、『OK Google、ママに発信』『Siri!今日はカサいりますか?』と、すでにAIに呼びかけ、日常生活で活用することを知っており、それに対して何の抵抗もありません。親世代は、機械に呼びかけることに躊躇する人も少なくないというのに。すでにAIネイティブ世代も生まれつつあるのです。新しい価値に敏感であるネオ・デジタルネイティブ世代の感性に学びつつ、AI時代における生き方に知恵を絞っていきたいですね」

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