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2018.06.10

F.I.N.的新語辞典

第8回 フリーダムベイビー

毎週一つ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回紹介する言葉は、世界が注目するアフリカ大陸の未来を担う世代「フリーダムベイビー」です。 

フリーダムベイビー【ふりーだむ・べいびー/freedombaby

 1994年以降の、アパルトヘイト体制(南アフリカ共和国がかつてとっていた人種差別政策)崩壊後に生まれた世代のこと。

今、アフリカの若いアーティストや起業家、クリエイターなどが発信する作品や活動が、独創的で革命的と世界から注目を集めています。今や“人類に残された最後の成長大陸”と呼ばれ、多くの国が投資先として注目しているアフリカ。さまざまな可能性を秘める国々で生きる、次世代を担うフリーダムベイビーについて、アフリカン・アート・コーディネーターのShokola(ショコラ)さんにお話を伺いました。

 ガーナにおける美術作品や音楽映像製作のコーディネート、文化人類学を専門とするShokolaさん。アフリカの若者が生み出すものには、歴史的背景の影響が大きく反映されているといいます。「アフリカと世界の間にある分断と移動の歴史に対してとても敏感で批判的です。自分の民族やアフリカ人であることを誇りに思い、想像力豊かで、コミュニケーションやユーモアの在り方が洗練されています」。

 多数の公用語とそれぞれの民族の言語が存在し、地域それぞれに独特な文化が根付く大陸で、歴史や違いを乗り越えて共存し、以前の世代にはない表現やビジネスをおこなうフリーダムベイビー。「コミュニティの紐帯がとても強く、起業家精神に富み、セルフプロモーションが優れていて、いくつも肩書きを持ちマルチに活躍する人が多いんです」と、Shokolaさん。

 今後フリーダムベイビーが世界に与える影響について、次のように話します。「アフリカの若者たちは、日々壮絶な貧困や人種差別、暴力などに接しています。過酷な生存環境だからこそ、生きる力や創造する力がとても強いと感じます。彼らのアクチュアリティやビジョンから世界が学ぶことは大いにあるのではないでしょうか」 。

 アフリカ大陸では人口が急速に増え続けると予想され、数十年先には世界の他のどの大陸よりも多くの若年層を抱えることになります。彼らの発信力と能力の高まりは、グローバル経済の中で、アフリカ、そして世界の強みになるでしょう。

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