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2018.07.15

F.I.N.的新語辞典

第13回 二拠点生活

毎週一つ、F.I.N.編集部が未来の定番になると予想する言葉を取り上げて、その言葉に精通するプロの見解と合わせながら、新しい未来の考え方を紐解いていきます。今回紹介する言葉は、現在の暮らしと今後の生き方を見つめ直す「二拠点生活」です。

二拠点生活【にきょてん・せいかつ/two bases immigration】

都会で生活する人が地方にも生活拠点を持ち、行き来しながら暮らすこと。

近年、クラウドソーシングの普及や、SlackやSkypeといったコミュニケーションツールの発達により、都心以外での働き方、いわゆる「二拠点生活」や「リモートワーク」に注目が集まっています。そんな複数に拠点を持つという考え方は、今後私たちは暮らし方や働き方にどのような影響があるのでしょうか。 今回、実際に東京と長野で二拠点生活にチャレンジし、ローカルを中心に編集のお仕事をされているHuuuu代表の徳谷柿次郎さんにお話を伺いました。

なぜ今、二拠点生活が広まっているのでしょうか。徳谷さんは次のように話します。「東京の許容量がとっくに超えていることにみんなが気付き始めたんだと思います。インターネット、スマートフォン、交通インフラの整備によって人間の移動力が上がり、働き方の可能性も多様化してきた今、全てを東京だけで担うのは不可能だと思います」。

実際に二拠点生活をしてみて、いろいろな気付きがあった徳谷さん。仕事や生活費の問題など、実行するにはハードルが高いことも多いけれど、それに勝る魅力もたくさんあるといいます。

「二拠点で生活をするので、人生ゲームを同時に2プレイヤー分進めるような感覚です。仕事と人間をミックスしながら日々を過ごす情報量は、通常の倍以上だと思いますね。地方での生活は、移動距離や見ている景色とともに思想が深くなりますし、近所に温泉があることも、新鮮で美味しい食材があることも、自然の四季に日々体感できるのも、全て最高です」。   

また、不安定な時代の中で複数拠点に根を下ろす生き方は、リスクヘッジになると徳谷さんは予想します。「自動運転の交通手段が普及したら、ますます東京に住むメリットは減り、多拠点を軽やかに移動する人が増えるのではないでしょうか。ただ大災害が東京を襲わない限りは、都心に人口と価値が集中するのは今後も止まらないはずなので、あくまで自己責任のカウンター的な手段として少しずつ広がると思います」。

バカンスのためや別荘を持つことともちがう暮らしの選択「二拠点生活」。都市と地方、そのどちらにも日常生活がある暮らし方は、多拠点を前提として人の流動性を高く保つという方向性に価値を見出していくのではないでしょうか。

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