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2019.06.17

谷中日記

第15回| 先輩のお庭番 

新人として頑張っておりましたら、3ヶ月で後輩が来てしまいました。

私もしっかりしなきゃ、と思いますが、いくつになっても、新鮮な初心を大切に生きていきたいものです。

そんな、私を励ましてくれるかのように、梅雨の合間の未来定番研究所のお庭には、真っ白なお花が次々と花を咲かせます。

「これは、沙羅双樹の花ではありませんか?」

 

仲良しの花屋さんに、ひときわ美しく咲く花を尋ねてみました。

「これは「夏椿」ですね。

 沙羅双樹は、寒さに弱く、日本で育てることはできないのです。

 沙羅双樹の代用として、日本では「夏椿」が植えられました。

 1日しか花を咲かせない性質には、確かに人生の儚さが感じられますね。」

 

平家物語の冒頭、

「沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるという道理を示している。おごり高ぶっている人も長く続くものではなく、まるで覚めやすいと言われている春の夜の夢のようである。」と描かれています。

夏椿の根元には、1日咲いて落ちた花が。盛者必衰の理を感じます。

能楽師の安田 登さんから、「初心忘るべからず」の「初」の字は衣に刀。

着物にする反物に最初のハサミを入れる事で、過去の自分を切り刻み、変化して行く志と教えて頂きました。

今「ありがたい」と思っている気持ちも、初心を忘れると、それが「あたり前」になり、「もっと」と求め、最後には相手や環境を「うらむ」ようになってしまうとも。

毎年、この夏椿が咲く頃、真っ白な「初心」を思い出し、進化して行ければと思います。

(未来定番研究所 出井)

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