2020.07.02

「働く」装いの未来。<全2回>

第1回| 陶芸家・今井律湖さんの場合

オフィスで働く場合、男性は背広、女性は制服が当たり前だったいつの頃から、装いも大きく変わってきました。これから先、仕事における装いの役割はどのように変わっていくのでしょうか?様々な分野で自分らしく働く方に、働く服で大切にしていること、実際に働く時の装いについて伺う連載企画です。

今回お招きしたのは、陶芸家の今井律湖さん。イギリスの大学にて陶芸を学んだことから、和でも洋でもある、自由な作風のうつわが人気の今井さんに「働く装い」についてお話しいただきました。

Profile

今井律湖さん

陶芸家。群馬生まれ。大学時代と留学先の英国で陶芸を専攻。帰国後、会社勤めののち栃木県窯業技術支援センターで学び、2012年に独立。現在は、栃木県益子町にて作陶している。異国の雰囲気と温かみが感じられる、ユニークで表情豊かな作品が魅力。

装いのポイント

1.普段着の上に作業着を着るので脱ぎ着がしやすく、ゆったりサイズのものを。

2.腕を上げ下げする作業でも、動かしやすく肩が凝らない洋服を着る。

3.ろくろを挽くときに粘土が飛ぶので、足元までしっかりと覆われたズボン。

ろくろを挽く時、足を開いて座るのでパンツスタイルが基本です。足元にも粘土が飛ぶのでしっかり足首まで覆えるパンツをずっと探していました。また、作業では肩や腕をよく使って肩が凝りやすいので、いろいろと試した結果、長袖のつなぎではなく、肩まわりが軽やかに動かせるサロペットに辿り着きました。アジア雑貨のお店でみつけた理想的なサロペットを色違いで買って、毎日着まわしています。それと、私にとってサイズ感も重要。1年中、普段着の上に重ねて着ているのですが、厚手のニットからTシャツまで気候によって変わる服のどれにも重ねられるゆったりサイズなのがポイントです。リビングの隣に作業場があり、作業をしたり、リビングでお昼やお茶をいただいたりと、行ったり来たりするたびにサロペットを脱いだり着たりするので、脱ぎ着のしやすさも大事。これを着ると仕事モードに、脱いだらくつろぎモードにと、自分のON・OFFのスイッチにもなっています。近所へ買い出しに出る時、そのまま出かけてもOKなデザインも気に入っています。

 

5月20日(水)

素焼きの窯出しをしている様子。8時間かけて少しずつ800度くらいまで温度を上げ、最高温度に達したらすぐに火を止め、翌日窯が冷めたら、品物を窯から出します。この日は寒かったので、サロペットの下にはセーターを着ました。セーターを着てもゆとりがあり、動きやすいんです。締め付け感がなく、厚着ができるので、通年着られて重宝しています。

5月21日(木)

リビングの隣の作業場で、窯出しした品物に釉薬をかける前の作業中。この時に、何色の釉薬をかけるかを先に決めておくんです。複数の色を使うので、素焼きの状態で色分けを鉛筆で書き込みます。この日も寒かったので、下にはセーターを重ねています。

5月26日(火)

ろくろを挽くているところ。ろくろを挽くときは足を開くので、サロペットなら気にせず作業しやすいのが嬉しい。柔らかい粘土が飛んで足元が汚れてしまうので、足首までしっかりと覆われていることも重要です。この日は暖かかったので、Tシャツ一枚にサロペットを重ねています。

5月27日(水)

本焼きした品物を屋外でチェックしているところ。品物を手板に乗せて、外にある窯場と屋内の作業場を行ったり来たりすることも多く、かつ両手がふさがったままの移動なので、サイドについた大きめのポケットが活躍します。鉛筆などの道具を入れたり、携帯電話を入れてラジオを聴いたりしています。

5月28日(木)

釉薬をかける前のものや乾燥させるものなど、作業場の棚で一時的に保管しています。重いものを高く持ち上げたり運んだりと、腕を上げ下げする作業も多いので、サロペットなら肩まわりの動きが制限されず、軽やかに動かせます。肩が凝りやすいので、腕の動かしやすさを重視しています。足元は、隣にあるリビングに楽に行けるよう脱ぎ履きしやすいようスリッパを履いています。

「働く」装いの未来。<全2回>

第1回| 陶芸家・今井律湖さんの場合