2018.06.08

未来の種が詰まったアフリカの今。<全3回>

第2回 アフリカのファッション。

アフリカは目利きたちが今、注目している大陸です。そのカルチャーをもっとよく知りたくて、アフリカの事情通の方々にアンケートを敢行。今のアフリカ情報を教えていただきました。第1回目は食を知るため、渋谷の〈ロス・バルバドス〉でコンゴ民主共和国のご飯に舌鼓を打ち、ミュージックシーンについてもお話をお聞きしました。第2回の今回のテーマはファッション。アフリカのカルチャーの面白さを聞いた時、ファッションが素敵とご回答いただいた方たちがいました。世界中を飛び回り活躍する渡部賀子さんにセネガルのファッションを、毎年、アフリカに足を運ぶという板谷曜子さんに南アフリカについてお聞きします。ファッションにはその人の持つ価値観が現れます。ファッションからその地域を知ることができるでしょうか。

(撮影:渡部賀子)

セネガルのダカールに未来を感じる。

Profile

渡部賀子

コンサート&イベントオーガナイザー、アフロ料理研究家。横浜とパリ在住。世界の音楽を現地で聴き続けながら、現地の料理を食べ続ける。趣味は現地の食材で自分の食べたいものを工夫して作ることと、セネガルのサバールダンス。西アフリカや北アフリカの人たちがたくさんの移民街に居ると落ち着く。日本に居る時は不定期に、各国の料理を披露するイベントを開催。

まいにちパリごはん /バイアーナがなぜかパリジェンヌ?!?!

F.I.N.編集部

アフリカの中で今「面白い」、「未来を感じる」と感じる場所はどこですか?

渡部さん

迷わずセネガルのダカールです。他の大都市に比べると田舎ですが、将来性があるという部分で未来を感じます。フランス語圏のアフリカは特に、ファッションと食の部分でセンスが良いんです。

F.I.N.編集部

セネガルの特徴的なファッションというのはあるのでしょうか?

渡部さん

もともとのセンスの良さに加え、服のカット、刺繍、デザインが巧みです。縫製技術士の技術も高く、近隣のアフリカ諸国やパリで服を作っている人たちも大勢います。

F.I.N.編集部

もともとセンスの良い人たちなんですね。ファッションセンスを養える環境があるということですか?

渡部さん

ファッションが優れている理由としては、みんな自分のことが大好きだからでしょうね。SNSで自撮りを掲載している人もとても多く、見栄っ張りな部分とプライドが高いというのも要因としては大きいと思います。アフリカの場合は正確には民族で分けて考えた方がいいので、セネガル人をすべて一緒に括ってしまうのは正確には間違いですが、あえてここではセネガル人と言いますね。特にセネガル人は、他のアフリカの民族と比較しても手足が長く、目はアーモンドアイ、頭が小さくて、鼻が高い。それを最大限に生かす方法を、周りから自然に身に付けています。

F.I.N.編集部

自分を魅力的に見せるファッションを知っているんですね。セネガルで人気のあるブランドはありますか?

渡部さん

世界で人気のブランドを身に付けていたりもしますが、偽物も多いです。でもそれを偽物に見えないくらい堂々と着こなすんですよ。そこが最高に格好いいと思います。セネガルの44%を占めるウォロフ族が特にそうなのですが、それに合わせて他の民族の人もウォロフ寄りになっている気がします。民族衣装の生地の選び方のセンスも良いし、もともと格好よく出来上がっている体をより綺麗にみせるラインで民族衣装を作るのはお手の物。特に若者は、民族衣装以外の普段着も体にぴったりした物を好みます。

F.I.N.編集部

彼らがよく使うファッションアイテムはありますか?

渡部さん

眩しいせいでもありますが、サングラスが大好きですね。ナイトクラブでもサングラスです。それもすぐに「あのブランドだ!」とわかるシェイプのものや、サイドにブランドロゴが入っているごついもの。他にもベルトも特徴があり、チャンピオンベルトのようなにギラギラしたものを好みます。靴も砂地を歩いているにも関わらず、いつもすごくキレイに手入れしています。帽子から靴まで全色ピンクという着こなしも、ナイトクラブでは結構見かけますよ。それがあの肌の色と体型で、嫌味がないのです。女性はウィッグの愛用者が多いです。ファッションによって髪型もウィッグでさっと変えてしまいます。

F.I.N.編集部

自分に自信を持ち、ファッションを楽しむ人々。身につけるものを通して自分の魅力を表現できたら、ファッションはもっと楽しくなる気がします。

南アフリカのファッション事情

Profile

板谷曜子

2008年に初めて南部アフリカの地を踏みしめて以来、どっぷりとアフリカにのめり込み、南アフリカを中心に毎年アフリカへ通うようになる。アフリカの若者たちが生み出す洗練されたカルチャーに感動し、まだ日本ではあまり知られていない現行アフリカ音楽の情報を中心にSNSで発信し続けている。同時に、DJ、月刊ラティーナやミュージック・マガジン誌への寄稿、ライナーノーツ執筆等、徐々に活動の幅を広げつつ、アフリカで次々と生まれる新しい音楽やカルチャー、希望を日々追いかけている。Twitter : @mitokon

F.I.N.編集部

アフリカに足しげく通う板谷さんが、よく行く国はどこですか?

板谷さん

南アフリカ共和国です。アフリカ大陸の国の中でも一番発展している国で、インフラなども整っていて旅行しやすくなりました。欧米の文化を取り入れて、それを自分たちらしくブラッシュアップして行くのが得意な人たちなんです。ファッションも洗練されている印象を受けます。

F.I.N.編集部

南アフリカにはどんな人たちが住んでいるんですか?

板谷さん

南アフリカにはたくさんの民族がいて、公用語だけでも11個あります。特に主要都市のヨハネスブルクやケープタウンには様々な民族がいます。南アフリカだけではなく、いろんな国から集まってきているので異国の文化が混ざりやすい。でも皆それぞれに出身があって、ルーツをすごく大事にしているんです。自分たちのルーツと、欧米などの影響を組み合わせているということがすごく新しいんだと思います。

F.I.N.編集部

公用語が11個も! 民族衣装を着ている方も多いのですか?

板谷さん

いわゆる民族衣装を着て暮らす人たちは本当に少数で、私たちと同じように普通の洋服を着て生活をしている方がほとんどです。しかし、イベントなどがある時は自分の民族衣装を取り入れたりしています。皆、自分のルーツにすごくリスペクトとプライドを持っています。

F.I.N.編集部

多様性に溢れている国なんですね。南アフリカで注目しているブランドはありますか?

板谷さん

MaXhosa by Ladumaというコーサ族の伝統的なビーズ細工の柄をニットに取り入れたブランドや、Ardmore Ceramicsというアート集団。こちらは食器をメインに作ってるブランドで、テキスタイルもたくさん作っています。動物や植物のモチーフ多く、色使いも鮮やか。すごく面白いです。

F.I.N.編集部

モチーフも色使いも可愛いですね。

板谷さん

アフリカは、空の色一つ取ってもコントラストが強く、自然の色彩も鮮やかな気がします。そういう景色を日々見ているということも、ものをつくる上でとても大きいのではないでしょうか。

撮影:板谷曜子

F.I.N.編集部

南アフリカには、若いクリエイターの方が多いんですか?

板谷さん

はい。どんどん若手の人が出てくることにも未来を感じます。ベテランのクリエイターも若い人を助けようとするんです。国の中の格差も大きく、貧しかったり、生活が大変だったり、犯罪の発生率も高いのですが、そういう環境から這い上がろうと頑張っている方もいます。犯罪に走らず、クリエイティブな面で希望をもって頑張ろうとベテランが呼びかけているんです。その環境は若い人たちにとってやりやすいと思います。

F.I.N.編集部

それは素晴らしい動きですね。心ある方々がサポートしているのですね。

板谷さん

最近、急激にインターネットが普及し、身近になりました。スマホも皆持っています。人付き合いが好きで、コミュニケーションを大事にする人たちなのでSNSも大好き。南アフリカの人たちも外にアクセスしやすくなって、どんどん発信するようになりました。これからは南アフリカだけでなく、他の国の文化も取り入れるようになると思うので、今後何が生まれるのかすごく楽しみです。日本のことも調べている人も多く、詳しくてびっくりしました。沖縄の民謡を自分の音楽に取り入れたいって言ってる人もいましたよ。

F.I.N.編集部

SNSが日常になったことで、世界が近くなった気がしますね。そして南アフリカの人々のパワフルさを感じます。

板谷さん

みんな希望を持って、前を向いて歩いている感じがします。南アフリカのクリエイターたちは「Africa is the Future」という言葉をよく使うんです。自分たちに自信を持ち、未来に希望を持っている象徴的な言葉。アフリカのすごく燃えている人たち、希望を持ってる人たちを見たり接したりすることで、とても良い影響を受けると思います。カルチャーだけではなく、南アフリカの人が持っている感覚なども学ぶことが多いです。

撮影:板谷曜子

他の国を知ることで、新しい文化が生まれる。

セネガルも、南アフリカも自分自身に誇りを持ち、日々新しいものを生み出すパワーに溢れています。いまだ直行便が少ないアフリカへの旅ですが、インターネットで世界がつながりやすくなった今こそ、新しいカルチャーが生まれるときなのかもしれません。そして多様性を知ることで、カルチャーを含むライフスタイルがもっと豊かに、自由になる未来が近付いていると感じました。次回はアートと音楽を特集します。