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2023.01.20

未来定番サロンレポート

第26回| 自作のコンポスト堆肥ではじめる、ハーブのある暮らし。

お出かけ日和となった2022年12月11日、26回目の「未来定番サロン」が開催されました。未来定番サロンは未来の暮らしのヒントやタネを、ゲストと参加者のみなさんが一緒に考え、意見交換する取り組みです。

 

第4回目の「未来定番コンポストサロン」は、バッグ型コンポスト「LFCコンポスト」を開発している〈ローカルフードサイクリング株式会社〉(以下LFC)で、コンポストトレーナーやハーバリストとして活動する目良光(めら・ひかり)さん、通称ヒカリータさんにお越しいただき、「半径2km圏内の小さな循環」のある暮らしや自作堆肥を使ったハーブ栽培のすすめ、ハーブソルトの作り方などを実演、お話しいただきました。

 

(文:大芦実穂/写真:西あかり)

堆肥回収会と

おいしいマルシェ。

コンポストサロンに入る前に、まずはLFCによる堆肥回収会とマルシェからスタート。未来定番研究所の事務所である谷中の古民家の軒先に、各家庭でつくられたLFCコンポストが続々と集まってきます。回収バッグに集まったたくさんの堆肥をかき混ぜていると、「何しているの?」とのぞきにくる人も。こちらで集められた堆肥は、契約している全国各地の農家へと送られていきます。

マルシェでは、LFCコンポストを使って育てられた野菜も販売。今回も、東京都三鷹市にある〈冨澤ファーム〉から、キャベツや白菜、かぶなど新鮮な野菜が届いていました。するとマルシェを見たお客さんが、「大根ににんじん、ゆずがあるってことは…なますを作れって言われているのかしら?」とうれしそうに話していました。たくさんあった野菜も午後にはほとんど売り切れに。

そのほか、台東区・鶯谷にあるサウナの屋上で養蜂をしている〈鶯谷ハニーラボ〉、全国の就労継続支援事業所で作られたお菓子をパッケージングし販売したり、カフェや焙煎過程で出るゴミの課題を各メーカーとのコラボレーションでアップサイクルしている〈珈琲焙煎処 縁の木〉も参加。ふらりと立ち寄った方に商品や取り組みについて説明すると、みなさん興味津々で商品を手に取って行かれました。

コンポストがきっかけで

見える世界が変わった。

午後2時過ぎ、ヒカリータさんによる「未来定番コンポストサロン」がスタート。サロンが始まる前に、参加者のみなさんにローズマリーが配られます。「においを嗅いでリラックスしてくださいね」とヒカリータさん。おすすめはこうです、と見せてくれたのは、ローズマリーを耳にかける方法。なんでも、古代のギリシャの受験生はローズマリーを耳にかけて、勉強の集中力をアップさせていたのだとか。和気藹々とした雰囲気のなか、本題へ。

耳にはローズマリーが。

まずは、ヒカリータさんがコンポストをはじめられたきっかけについて教えていただきました。ヒカリータさんは、アパレル業界で20年ほど働いたあと、コンポストに出会い、LFCに参画することになりました。

 

「旅行が好きで、世界は30ヵ国くらい旅しました。南米に行ったときに、現地の人に、なぜここへ来たの?と聞かれて、自然が好きだからと答えたんです。すると、『じゃあ自然にいいことしてるの?』とさらに質問が返ってきて、答えに詰まってしまいました。この言葉がずっと頭に残っていて、帰国後、環境のためにできることを探しました。そうしてたどり着いたのがコンポストです」

その後、LFC代表取締役のたいら由以子さんと出会い、どんどんコンポストの魅力にはまっていったと言います。(前回たいらさんにご登場いただいた回はこちら

普段の生活圏から

「循環」について考える。

続いて、「ご自身の生活の範囲から、循環について考えてみてください」とヒカリータさん。

 

ひと昔前までは、暮らしに必要な供給物やごみや排水などの排出物、経済などは、徒歩や自転車でもまわれるくらいの規模に収まっていました。そこではすでに、持続可能な社会が実現していたと言います。グローバル化が進み、都市化した現代の社会では、小さな範囲にすべてを収めることはほぼ不可能に。そこで、私たちの生活に密接に関わっている「食」から小さな循環を始めようというのが、〈ローカルフードサイクリング株式会社〉の目的です。

 

日本のほとんどの市町村で、生ごみは「燃えるゴミ」として焼却されますが、生ごみは水分も多く、焼却には膨大なエネルギーが必要。そのために私たちの税金がたくさん使われるなんて、もったいないですよね、とヒカリータさんは話します。

 

また、実は栄養がたくさん含まれている生ごみ。生ごみをLFCコンポストに入れて堆肥をつくり、その堆肥を使った土で野菜を育て、育った野菜を食べる。環境負荷が減るのはもちろん、循環を身近に感じられるのではないでしょうか。

カルチャーデザイン部は

暮らしの実験場。

半径2km以内での「捨てない暮らし」と「楽しい循環生活」を実践するため、LFC内にカルチャーデザイン部を立ち上げ、事務所の前に畑とコンポストをつくり、2階ではベランダ菜園も行っています。ランチは、菜園で取れたものを使い、みんなでテーブルを囲み、1汁5菜も(!)食べているのだとか。うらやましい社食ですね。

 

そのほか、ワークルームをDIYしたり、夏にはヘチマのカーテンを作り、実ったヘチマでスポンジを作ったり、養蜂、芋掘りイベント(スタッフとその家族対象)、出勤前には近くのビーチで瞑想をすることもあるそう。

 

「カルチャーデザイン部を設置したことで、これまで時間に追われてできなかったことが、きちんと時間を取って取り組めるようになりました。将来的には、いろいろな企業にカルチャーデザイン部ができていくといいなと思っています。その際、何からやればいいのか?と質問されたら、まずは手軽なコンポストからはじめてみるといいのではないでしょうか。そこから菜園などにつなげていくと思います」

コンポスト堆肥ではじめる、

ハーブのある暮らし。

ハーバリストとしても活躍するヒカリータさんに、ハーブの魅力と活用法についてお話し&実演いただきました。

 

西洋では冬が長く狩猟文化があるので、貯蔵や臭い消しとしてハーブが広まりました。一方、日本では海や山に囲まれ新鮮な食べ物が多かったため山葵や生姜などの薬味が広まったそうです。西洋・東洋問わず、遥か昔から民間療法で使われてきたそうです。また、栽培のしやすさも特徴。ローズマリーの原産地は地中海沿岸で、耐寒性、耐暑性に優れ、若返りのハーブとして、抗酸化作用、記憶力、集中力アップ、血行促進などの効果があると言われています 。

ハーブは育てやすく、取り入れることで心身の 健康につながる ので、コンポスト堆肥を使い自宅のベランダで育てる「ハーブのある暮らし」をおすすめしています。LFCでもポットで栽培中。コンポスト堆肥で育てると、栄養たっぷりでどんどん根張りしますよ、とヒカリータさん。

 

また、コンポスト堆肥を使って植物や野菜を栽培すると、より循環を身近に感じられると言います。今まで以上に食や健康に関心を持つようになったり、食品ロスを出さないようにしようと心がけるようになったり、季節の移り変わりを肌で感じられるようになったりと、いいことがたくさんあります。

育てたハーブの活用法。

さっそく、ハーブを使った「季節のフルーツ&ハーブシロップ」と「ハーブソルト」を実際に作って見せてくれました。

「季節のフルーツ&ハーブシロップ」は、その時々の旬の果物とハーブを漬け込んださわやかなシロップで、ハーブを入れることにより風味が増し、効能の相乗効果も期待できるとか。

 

今回は、薄くスライスしたゆず(どのように切ってもいいそうです)とローズマリーを使用。消毒した広口瓶に、カットしたゆずと氷砂糖を1:1の割合で、交互に入れていきます。そのときにローズマリーも適当に差し込んでいきます。

ヒカリータさんは材料を慣れた手つきで瓶に詰めていき、あっという間に(ものの3分くらいで)完成してしまいました。

 

ウェルカムドリンクとして炭酸水で割って飲んだり、ハーブティーにプラスしたり、お湯で割ってもおいしいそうです。もちろん中身も食べられます。

続いて、「ハーブソルト」を作っていきます。

 

こちらも、好みのハーブ数種類と天然塩だけというとってもシンプルな材料。お肉や魚の下ごしらえや料理の味付け、ドレッシングにも使えるそう。

 

今回は乾燥させたバジル、オレガノ、タイム、ローズマリーを使い、スリコギでハーブをすりつぶしながら、塩を数回に分けて入れていきます。全体がよく混ざったら完成。とても簡単なレシピでした。

サロンも終わりに近づき、参加者の方からの質問コーナーへ。

 

「半径2km以内の地域コミュニティでつながっているとのことですが、防災などの観点から、今後のプランなどあれば教えてください」という質問が。

 

これに対し、ヒカリータさんは、「現在NPO循環生活研究所の事業で取り組んでいる『見守りコンポスト』では、高齢者の方にダンボールコンポストを設置し、堆肥づくりをしていただいています。1週間に1回、スタッフが高齢者の見守りも兼ねて、堆肥をかき混ぜに行っています。するとコミュニケーションが生まれ、お年寄りの方がどんどん元気になっていくんですよね。コンポストは地域コミュニティの軸にもなると考えています」と回答。

みなさん、深く頷かれ、感心されているようでした。会が終了したあとも、参加者の方とヒカリータさんのディスカッションは続き、コンポストを使ったコミュニティづくりに関心を寄せていらっしゃいました。よく晴れた日曜日に、回収会とマルシェ、そしてサロンと、自然を肌で循環を感じる1日となりました。

目良光さん(めら・ひかり)

ローカルフードサイクリング(株)コンポストトレーナー、菜園講師、ハーバリスト。

アパレル在職中にコンポストと出会い、農業に目覚める。コンポストのお悩みを解決するLINEサポーターとして、ユーザーのコンポストライフを伴奏する。オフィスのベランダや畑で野菜を育て楽しくおしゃれな循環生活を提案発信している。

https://lfc-compost.jp/

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