2018.08.22

未来定番サロンレポート

Vol.1 バレエ〈ボレロ〉の世界に親しむひととき

7月29日。台風一過の東京・谷中にて、1回目の「未来定番サロン」が開催されました。 未来定番サロンは、未来のくらしのヒントやタネを、ゲストと、参加者のみなさんと一緒に考え、意見交換する取り組みです。1回目の今回は、人気漫画家の桜沢エリカさんと、東京バレエ団プリンシパルの柄本弾さんによるトークイベントが行われました。

(撮影:鈴木慎平)

テーマは「バレエ〈ボレロ〉の世界に親しむひととき」。「そもそもボレロって?」という基本から始まり、柄本さんが初めてボレロを踊ったという、2015年横浜の屋外ステージでの映像鑑賞、バレエの未来についてのお話、桜沢さんの新刊『バレエで世界に挑んだ男』のお話など、お2人のバレエ愛がたっぷりと伝わる時間となりました。

柄本さんは、東京バレエ団のプリンシパル(トップダンサー)。日本人男性で唯一、世界的振付家 故モーリス・ベジャールの代表作『ボレロ』を踊ることを許されているダンサーです。

一方桜沢さんは、漫画家として10代でデビュー。いつの時代も女性の心情をリアルに描写することで人気を得てきました。桜沢さんは20年来のバレエマニアということで、ディープなお話がたくさん飛び出しました。

トークショー後に、お二人にお話を伺いました。

F.I.N.編集部

お疲れ様でした。本日はいかがでしたか?

柄本さん

人前で話すことはあまりないので、とにかく緊張しました。2日前から「何を話そう…」と考えて眠れませんでした(笑)。でも、桜沢先生がリードしてくださって、リラックスして話すことができました。ありがとうございました。

桜沢さん

(笑)。緊張してたね。2015年のボレロの映像を見た時は、かなり汗かいてたのでは?

柄本さん

あの時のことは思い出すのもつらいくらい、うまくいかなかったので、改めて見たら冷や汗がでました……。

F.I.N.編集部

ご自分では初めてご覧になったんですか?

柄本さん

初めて見ました……。もう見たくないです。

小雨の降る中で踊ったというボレロ(2015年)の映像を見ながら、桜沢さんが解説。

F.I.N.編集部

トークショーの中で、たくさんボレロについてお話いただいたと思うので、ここでは「バレエの未来」について少しお話伺えればと思います。

桜沢さん

日本は他の国と比べて、行政のサポートも少なく、苦しい現実があるんです。だからチケット代が高くて、敷居が高いと思われているんですよね。音楽、美術、衣装、そして人間の体の美しさと、バレエは総合芸術です。ぜひ一度劇場で味わってほしいですね。

F.I.N.編集部

たしかに、お稽古でバレエをやっている人は多いのに、実際に観に行くという人は少ない印象があります。

柄本さん

 

僕自身、バレエ教室にゲストで呼ばれて行くこともあるのですが、白鳥の湖を見たことがないっていう人が結構多いんです。鑑賞する人って少ないんだなぁと思います。

桜沢さん

ヨガとかエアロビとか、お稽古ごと的なもののひとつになっているのかもしれないですね。そういう人たちにどう足を運んでもらえるのか、考えないといけないですよね。

柄本さん

ダンサーとしても、公演数が減っていることがとても悲しいんです。やはりひとつの役を、一回だけでなく、二回三回と踊ることで、気づくことがたくさんあるんです。たくさんの人が見にきてくれたら、公演数が増え、ダンサーが成長すると思っています。

桜沢さん

私は海外でもよくバレエを観に行くんですが、海外の人たちは、カップルでとびっきりのおしゃれをしてきてる人たちが本当に多い。クリスマスにくるみ割り人形を見るっていうのが定番みたいだし。大切な人との時間をすごすのに、美しいバレエは最適だと思うんですけどね。

柄本さん

ダンサーたちの努力も必要ですね。やっぱりテレビやSNSの時代なので、そういうものを使って、身近に感じて、知ってもらいたいと思います。そこから、このダンサーさんが出ている公演を、ちょっと観てみようかなという気持ちになってもらえたらいいですよね。イタリアのロベルト・ボッレさんという方は、もうスーパースターで、一般のバレエを観ない人でも彼のことは知っているという方。僕ももっともっと頑張って、バレエを広めるためのダンサーになりたいですね。

桜沢さん

わかった!スキャンダルなんていいんじゃない?(笑)

柄本さん

勘弁してください……(苦笑)。正攻法で頑張ります(笑)。

「未来定番サロン」の会場。古民家を改築した味のあるオフィスです。

バレエファンの方や、実際にバレエを習っているというお子さんも。真剣な眼差しでお二人のトークに耳を傾けます。

トークショー後は、記念撮影と、桜沢さんのサイン会が行われました。

柄本さんをイメージして生けられたという、立派なお花の前で。

柄本さんは、12月1日(土)新国立劇場で開催される〈20世紀の傑作バレエ2〉にて、『ボレロ』を昼夜2回踊ります。興味のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

https://www.nbs.or.jp/stages/2018/20ballet/cast.html