2018.08.31

空想百貨店

Vol.3 森ガキ侑大さんが考える、”アイディア買い取り”サービス

様々なECサイトの登場、テクノロジーの進化により、買い物環境は日々変化しています。リテールビジネスの店舗はこれから、どんな場所になったらいいのでしょう。

私たち「未来定番研究所」は、大丸松坂屋百貨店の部署のひとつとして、未来の百貨店のあるべき姿を日夜考えています。この企画では、多様なジャンルで活躍するクリエイターの皆さんの力をお借りして、未来の百貨店を自由に空想してもらおうと思います。

今回お招きしたのは、映画監督で、CM、映像ディレクターの森ガキ侑大さん。人々の心を掴む映像作品を数多く世に送り出してきた森ガキさんに、「これからの百貨店がどうあったら面白いのか」、アイディアをいただきました。

(イラスト:Mako Kawai)

百貨店から出る廃棄商品をうまく活用して、何か新しいことができないかと考えてみました。そこで思いついたのが、お客さんのアイディアと売れ残り商品を交換するサービスです。まずは売り場の各所に目安箱を設置し、お客さんからアイディアを募集。それは、売り場に置いてほしい商品や、やってみたいことの提案でもいいし、「アフリカでこんな新しいコーヒー見つけたよ」みたいな百貨店で使える情報でもいいし、もっと言うと、百貨店をテーマにした詩や歌、映像作品でも何でもOK。そのアイディアが面白いかどうかを百貨店が査定して、その額分、館内の売れ残り商品に使える商品券=ドリーム券を配ります。つまり、アイディアを買い取るということ。頭の中に色々とアイディアはあるけど、なかなか陽の目を浴びない人たちには特に面白がってもらえるんじゃないでしょうか。

例えば、世の中には売れないミュージシャンが山ほどいますよね。彼らに「◯◯百貨店への思い」を曲にしてもらって、その分、賞味期限間近の食品を持って帰っていいよとドリーム券を配る。もしかしたら、ここから新しい才能が発掘される、なんてこともあるかもしれません。もちろん、その査定は百貨店側次第なので、「申し訳ないですけど、あなたの曲は100円です」ということも有り得ますが……(笑)。いずれにせよ、廃棄商品が減って、自由なアイディアが集まるのはもちろんのこと、副次的に、アイディアを考える人たちで、百貨店内のカフェなどにも人が来るようになることも考えられます。百貨店の店舗自体も潤って、新しい人の流れを作っていけるんじゃないでしょうか。

Profile

森ガキ侑大/映画監督・CM、映像ディレクター

1983年広島県生まれ。Short Movie、CM、MVを中心に演出を手がける。CM演出は、Softbank、資生堂、LOTTE、toto、ENEOS、LAWSONなど多数。2014年には、短編映画『ゼンマイシキ夫婦』が、FOX短編映画祭 最優秀賞受賞、小津安二郎短編映画祭 準グランプリ受賞。その他ACCシルバーなど多数受賞。また、初の長編映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』は、第39回ヨコハマ映画祭 森田芳光メモリアル新人監督賞、第21回タリン・ブラックナイト映画祭 最優秀アジア賞(NETPAC)受賞、第24回フランス・ヴズール映画祭 国際審査員グランプリ受賞。

http://morigakiyukihiro.com/

編集後記

売場展開のアイディアを頂くことが多かった空想百貨店。今回は森ガキさんから企画取り組みについてのアイディアをいただきました。

百貨店にまつわるクリエイティブなアイディアと売れ残り商材を交換して、これからの百貨店をみんなで考える。そしてそのプロセスによってお店との関係が生まれ、どんどんそのお店のファンになっていただく。これ、お店にとっても理想的な次世代のお客様との関係性だと思います。売れ残り商材の展開方法に着眼したところもさることながら、共創によってお客様との密なる関係性が構築できるところがとても魅力的で感銘を受けました。

そしてもうひとつ。森ガキさんは以前取材でお目にかかった時に言葉にされていたことを、今回お会いした時にはすでに実現させておられていたという、まさに有言実行の人。どうやったらできるのかを考え行動するチカラ。そんなご本人のパワーにもおおいに見習うべきことも多い取材でもありました。

(未来定番研究所 前川)