地元の見る目を変えた47人。
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2018.06.12
未来を仕掛ける日本全国の47人。
毎週、F.I.N.編集部が1都道府県ずつ巡って、未来は世の中の定番になるかもしれない“もの”や“こと”、そしてそれを仕掛ける“人”を見つけていきます。今回向かったのは、千葉県の浦安市。〈森岡書店〉の森岡督行さんが教えてくれた、多肉植物アレンジユニットの近藤義展さん、友美さんご夫妻をご紹介します。
この連載企画にご登場いただく47名は、F.I.N.編集部が信頼する、各地にネットワークを持つ方々にご推薦いただき、選出しています。
多肉植物の魅力を伝え、自然に寄り添った豊かな暮らしを提案する人。
千葉県の浦安市にアトリエを構え、多肉植物で作ったリースやタブロー(壁掛け)など、多肉植物に特化したアレンジメントを次々に生み出す近藤さんご夫妻。推薦してくれた森岡さんは、「お二人の言動には多肉植物に対する愛が溢れているんです。アトリエにはカフェも併設されていて地元の方々の憩いの場として愛されていることが伝わってきます」と話してくださいました。近藤義展さんにお話を聞いてみました。
F.I.N.編集部
近藤さん、こんにちは。
近藤さん
よろしくお願いします。
F.I.N.編集部
千葉県の浦安市と聞くと、東京ディズニーランドの印象が強いですね。
近藤さん
そうですよね。今は東京ディズニーランドが有名ですが、もともとは漁師町だったんです。古くからの下町気質が根付く、活気のある町の要素と、埋め立てによってつくられた新興住宅地やマンションなどの集まる町の要素が融合されています。そして妻、友美の地元であり、現在の〈TOKIIRO〉のアトリエが実家でもあります。
F.I.N.編集部
そうなんですね。そもそも、「多肉植物」ってどんな植物なんですか?
近藤さん
多肉植物と言っても、何千種類もあります。ただ、共通して言えるのは、“葉、茎、または根の内部に水を貯蔵している”ということ。原産地は、中南米や南アフリカの砂漠や海岸のような乾燥地帯がメインです。こうした土地は、日中は太陽がカンカンに照り、水分が少なくて、空気はカラカラに乾いています。また、夜は急激に気温が下がり、昼夜の寒暖差が40度以上になることもあるため、植物も過酷な環境でもしっかり生きていけるように進化してきました。その結果生まれたのが多肉植物。体の内側にたっぷりと水分を貯めこみ、体内の水分を活用しながら生きています。特に私たちが扱う多肉植物は、ベンケイソウ科キク科ユリ科の一部で、主に葉に水や栄養分を貯蔵するタイプです。茎に貯蔵するタイプの代表としてはサボテン類、根に貯蔵するタイプとしてはコーデックス類があります。
F.I.N.編集部
なるほど。お二人はそんな多肉植物に特化して、アレンジメントや、さらには園芸業界の枠を超えたグリーンデザイン、ワークショップなどの多岐にわたる活動をされていますが、どんなきっかけで多肉植物に惹かれたんですか?
近藤さん
もともと私たち夫婦は植物とは縁もゆかりもありませんでした。きっかけは、2008年に、親戚の勧めで訪れた〈八ヶ岳倶楽部〉で、園芸家の柳生真吾さんが提案する多肉植物のリースに出合ったことです。見つけた時、私は、「枯らしてしまうから」とあまり気が進まなかったのですが、あまりにも妻が欲しがるので、多肉リースの作り方が書いてある真吾さんの著書を購入し、帰途につきました。
F.I.N.編集部
それが、どうしてお仕事とするにまで至ったのでしょうか?
近藤さん
帰った翌日、仕事が休みだった私は近所の花屋やホームセンターをまわり、当時、流通量が少なかった多肉植物を買い集め、材料をそろえて、本を見ながら多肉植物のリースを作り妻にプレゼントしました。それを受け取った妻がキラキラした笑顔で喜んでくれて……。その笑顔を見て私は幸せを感じましたね。その後、真吾さんの本に書いてある通りアレンジやタブローなど制作はどんどん進み、自宅の裏庭は多肉植物のアレンジメントでいっぱいになってしまいました。飾る場所をどこにしようかなと思いながら、だんだん裏庭から表の玄関の方へも多肉植物が進出していくようになったのと同時に、道行く方々から「どこで売ってるの?」と声をかけられるようになり、注文を受けて制作するようになりました。事業者として登録をすれば、植物流通の市場や農家さんと取引できることを知り、屋号を決めることにしました。
F.I.N.編集部
奥さんの笑顔がきっかけとは、すごく素敵です。ユニット名を〈TOKIIRO〉にされたのはどうしてですか?
近藤さん
多肉植物の魅力のひとつに、季節折々の色の変化をゆっくり楽しめることがあります。日々の生活に追われていると、季節の変化を忘れてしまいがちですよね。多肉植物は日本の四季をゆっくり教えてくれ、心にゆとりを作ってくれる。そんな意味から、〈季色(トキイロ)〉という名前に決めました。さらに2015年、よりグローバルな活動につなげるべく季色から〈TOKIIRO〉へ変更しました。どんなに時が経過しても、当初のコンセプトがぶれることはありません。日々進化しながら、多くの方に多肉植物の感動と魅力をお伝えできればと思っています。
F.I.N.編集部
アレンジする際には、「空間に生きるストーリーを創作する」というコンセプトがあるそうですね。
近藤さん
〈TOKIIRO〉が扱っている多肉植物は、それぞれがその形や色を手に入れるまでの進化の過程や育ち方にストーリーを持っています。過酷な環境を受け入れたその植物の姿は、人から見ると時に美しく、優しく映るんです。その多肉植物を空間に再創作する時、彼らの進化と未来とを絵を描くようにデザインすることで、新しいストーリーが動き出すと考えています。これが、〈TOKIIRO〉が考える「生きて進化するアート」の濫觴(らんしょう)です。
F.I.N.編集部
植物たちが辿ってきたストーリーを未来に繋ぐことを大切にされているのですね。屋内で多肉植物を光合成させるLEDフレーム作品「TOKIIRORIUM」も面白いです。
近藤さん
昨今のライフスタイルを考える上で切り離せないのが植物、自然、そして地球です。現代のストレスフルな日常の中で植物の存在は重要であり自然を感じることのできるアイテムとして認識されていますよね。ですが実際には、太陽がなく、自然の風が少ない屋内では、癒してくれるはずの植物がどんどん元気がなくなっていくという残念な結果になってしまっています。屋内でも植物がいきいきと生育する環境を実現できればと思い、多肉植物の個々の魅せる動きを一つの空間に創作し演出する〈TOKIIRO〉のアレンジメントと植物を屋内で生育するための光の装置を融合し「TOKIIRORIUM」を創作しました。
F.I.N.編集部
近年では、台北やNYなどへも活動のフィールドを広げられる中、日本での活動と海外での活動には違いがありますか?
近藤さん
出版した書籍を翻訳していただいたのをきっかけに、海外からもオファーを頂くようになりました。日本と海外とでの活動に違いは何もありません。多肉植物と生活することで、人間目線の在り方ではなく、地球や自然環境を意識し、地球目線や宇宙のモノサシで物事を見てみませんか?という提案をしております。
F.I.N.編集部
確かに、自然や植物と向き合う時、そこに国や民族という枠組みは関係なさそうですね。今回近藤さんご夫妻を紹介してくださったのは、〈森岡書店〉の森岡督行さんです。森岡さんとはどんなお繋がりがあるんですか?
近藤さん
2017年に主婦と生活社から発刊させていただいた書籍『多肉植物生活のすすめ』の展示を森岡書店でさせて頂いたのをきっかけに急接近させていただきました(笑)。森岡さんの印象は見た目のインパクトからは想像しかねる柔らかい物腰と笑顔、そこから表現される長い手を使った身振りでしょうか。一発で恋に落ちましたね。そんなファンが山の様に集まる人です。
F.I.N.編集部
魅力的な方ですよね。そんな森岡さんは、お二人のアトリエのことを、「地元の方々の憩いの場として愛されている場所だ」と教えてくれました。地元に対してはどんな思いを持たれているんですか?
近藤さん
僕たちにとってホームタウンである浦安は、東日本大震災の時に液状化現象の被害を受け、市民が力強く協力し立ち直った街なんです。そんな浦安を僕らは誇りに思っています。浦安には、たくさんの作り手やアーティスト、デザイナー、カメラマンが拠点を持っていて、僕らもその中の一つとして浦安を、千葉を世界にアピールしてゆければいいですね。森岡さんがおっしゃった「地元の方々の憩いの場として愛されている」というのは森岡書店で展示をさせていただいた時に、そんな浦安のクリエイターたちが展示に来てくださり盛り上げてくれたおかげです。〈TOKIIRO〉が憩いの場として愛されているというよりも、浦安の皆さんが〈TOKIIRO〉を応援してくださっているというのが正しいと思いますね。
F.I.N.編集部
お二人だけでなく、浦安には地域愛に溢れる素敵な方々がたくさんいらっしゃることが分かりました。最後に未来に向けて、お二人が多肉植物を通して実現したい世の中について教えてください。
近藤さん
僕らが多肉植物に出合ったことは偶然ではなく必然であったと思います。たまたま夫婦で出かけた先が八ヶ岳倶楽部で、たまたま妻の友美が気になったのが多肉植物のリースだった。そんなことが、はじめは偶然重なって好きになったのだ思っていました。しかし、多肉植物に導かれるようにして、今の僕たちの立ち位置があります。植物のことを知れば知るほど地球を知りたくなりますし、地球を知るには宇宙を知る必要性に気づいたり、その中の人類はどんな役割なのかを考えるきっかけをくれたりします。今の人類が積み上げてきた文明や技術がこれからどう進むべきなのか、ただ人が便利になればいいのか、ただビジネスがまわればいいのか、新しいものを作るために沢山の過去のものを壊すのか、戦争はビジネスのために起こすのか……。人間は植物が光合成をしてくれるおかげで息をしていますし、植物がなくては文明を持つこと以上に生きることさえできません。一方、植物は人間がいなくても、生き続け、繁茂していくことが出来ます。植物と接していると、人がいかに地球を、欲望を理由に自分勝手に解釈しているかということを考えさせられるんです。多肉植物を外に置き愛でることが、多肉植物の環境適応力という潜在的な力を発揮させ、これからの地球環境維持に大いに役立ってくれること、そして人類が地球を理解する感性を持つきっかけになってくれるはずです。
F.I.N.編集部
多肉植物への深い愛ゆえに、地球目線や宇宙のモノサシで物を見る考え方を提案する近藤さんご夫妻を、地元をはじめ、様々な方が応援したくなるのが頷けますね。貴重なお話をありがとうございました。
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