地元の見る目を変えた47人。
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2019.05.24
未来を仕掛ける日本全国の47人。
F.I.N.編集部が1都道府県ずつ順番に、未来は世の中の定番になるかもしれない“もの”や“こと”、そしてそれを仕掛ける“人”をご紹介します。今回取り上げるのは、徳島県徳島市。ファッションデザイナー内田文郁さんが教えてくれた、徳島市南内町にあるカフェ<Deili>を主宰しながら、フードディレクターとして活動する河田真知子さんです。
この連載企画にご登場いただく47名は、F.I.N.編集部が信頼する、各地にネットワークを持つ方々にご推薦いただき、選出しています。
各地を自由に飛び回りながら、人と人、土地と土地をつなぐ人
東京・元麻布にある日本料理店「かんだ」の立ち上げメンバーとして従事したのち、現在はフードディレクターとして活動する河田真知子さん。徳島で<Deili>を運営する彼女は、徳島と東京を行き来しながら、独自のアンテナと感性を武器に、人が集まる空間を作り出しています。ご紹介いただいた内田文郁さんとは、地元の共通の知り合いを介して出会われたのだそう。「彼女が、一つひとつ大事に選んだ地元の食材で作る料理はとても素晴らしいです。私が徳島に伺った際に食事をいただき、その細やかな感性にとても感動しました。県の事業にも携わっていて、地元の良さを地元だけでなく東京にまで発信する活動も素敵です」と内田さんは話します。今回はそんな河田さんに、現在の活動や大切にしていること、今後の展望などについてお話しを伺いました。
F.I.N.編集部
今回は、河田さんのフードディレクターとしての活動内容をはじめ、いまに至る経緯やこれからの展望などについてお話しを伺えればと思います。まず、河田さんの地元である徳島県の特徴や魅力についてお聞かせいただけますか?
河田さん
とても風土が豊かな場所です。土地が肥沃で、日本全国でもトップクラスの日照時間の長さなので農業が盛ん。おいしい野菜が豊富に採れるんです。また瀬戸内海と太平洋の魚が両方味わえる贅沢な場所でもあります。お肉もおいしく、ジビエもありますし、本当に食材には困りません。
F.I.N.編集部
食材がとても豊富なのですね。徳島県は、移住者やサテライトオフィスが多いことでも知られていますね。
河田さん
はい。神山町などは移住者などの受け入れを早い段階から行っていて、IT企業などのサテライトオフィスが増えています。また、藍染や織物、和紙などの伝統工芸も盛んなのですが、その魅力をどんどん外へ発信して頑張っている若者たちも増えています。
F.I.N.編集部
そうなのですね。河田さんが運営するカフェ<Deili>はどのようなお店なのでしょうか?地元でお店を作ろうと思われたきっかけについても教えてください。
河田さん
近所の方々が集える、居心地の良い場所を作りたいと思ったのがきっかけです。お酒を一杯だけ飲みにいらっしゃる方もいますし、近所の方に気軽に利用していただいています。基本的にメニューはなく、徳島県の食材を使ってスタッフが得意なものを作るというような自由なお店なんです(笑)。県外の方はもちろんですが、まずは地元の人が楽しめる場所にしたいという思いがあります。その上で、観光客も立ち寄ってもらえたら嬉しいですね。個性的で愉快なスタッフが多いので、私がいなくてもスタッフに会いに来てくださる方もいるんですよ。
F.I.N.編集部
いろいろな人が集う楽しい場所なのでしょうね。ポップアップイベントなども行われるそうですね。
河田さん
例えば、東京で活躍する料理人の友人が、徳島県の食材を使って料理をするポップアップイベントを開催したり、東京からアーティストに来てもらってワークショップを開いたりと、地元の人が楽しめるイベントを企画しています。阿波踊りの時には、私がもともと働いていた日本料理「かんだ」の料理長・神田裕行さんにお越しいただいて、お料理を振るまっていただきました。店内のインテリアも和食に合う装いに模様替えして。このように、外と中をつなぐハブにもなるような場所にできたらと思っています。今年4月には、市内の埠頭で、徳島県内外のミュージシャンやブリュワリーの方々を呼んで、音楽とビールのイベントを行い、地元の方も楽しんでいただけて大盛況でした。
F.I.N.編集部
お店を軸に、町全体が活性化している様子ですね。河田さんが食の世界に入られたきっかけや理由などを教えていただけますか?現在に至るまでどのような経緯があったのでしょうか。
河田さん
もともと若い時から海外へ行きたい気持ちが強かったんです。将来を漠然と考えた時に、食に関わる仕事だといろんな場所でたくさんのことに関わることができそう、と考えて食の世界に興味を持つようになりました。そんな時、縁があって日本料理「かんだ」の立ち上げスタッフとして関わらせていただきました。出産を機に、女性としての働き方や自分のやりたいことをしていこうと、現在のようなフードディレクションの仕事をスタート。求められれば日本各地に出向いて、お店の立ち上げやイベントのディレクションなど、幅広くお手伝いさせていただいています。
F.I.N.編集部
具体的にどのようなお仕事をされているのでしょうか。
河田さん
地元へ戻ってからは、徳島県の食をはじめ伝統工芸や観光などをPRするお手伝いもさせていただいています。現在は主に徳島のいいものを首都圏に紹介するという仕事をしています。今年のGWに行われた逗子海岸映画祭では、徳島県のPRイベントをディレクションさせていただきました。映画祭では2日間、渋谷神山町にあるビストロ<ピニョン>さんによる徳島の食材を使ったコース料理を計120名の方に召し上がっていただきました。同時に、藍染の体験ワークショップを開いたり、徳島県のPR映像を作成して流したり。食を軸に、徳島県の魅力をもっと伝えていきたいですね。
F.I.N.編集部
映画祭での反応はいかがでしたか?
河田さん
急に徳島県の映像が流れてびっくりされた方もいたようですが、都内の方、若い層の方にも興味を持ってもらえたかなと手応えを感じています。当日は、徳島県庁の方も参加して、接客しながらPRしてもらいました。仕事柄、いろいろな土地でプロジェクトに参加してきましたが、これまでは地元に目を向けられていなかったように思います。いざよく見ると、地元にはいいものがたくさんあることに気づきました。これも、離れた時期があったからそ気づけたことかもしれませんね。
F.I.N.編集部
活動の軸になる考え方や大切にしていることを教えてください。
河田さん
東京でも、徳島でも同じことをやりたくて。「東京をはじめ日本各地でできたつながりを徳島に持って帰る」ということコンセプトに活動をしていきたいと思っています。地域の魅力を、各地で活躍している人たちが徳島を訪れ、表現してくれることで、改めて地元の人たちに気づいてもらいたい。そして、地元の人たちが、自らの土地に誇りと自信を持てるようにお手伝いできればと考えています。徳島から外に魅力を発信する仕事も多いのですが、私としては、地元におもしろいものを持って帰ることで「地元の人たちが楽しめること」を基本に考えています。
F.I.N.編集部
これから先、河田さんのように中心となる拠点を1〜2カ所持ちながらも、働く場所を1カ所に決めない働き方はこれからどんどん増えると言われていますが、そのような働き方、暮らし方についてどう考えられていますか?
河田さん
“一カ所に骨を埋める”というのが美徳とされていきた日本ですが、私は性格的にも同じ場所にとどまることが向いていないようで(笑)。最近は防災的な目線でも、居場所を複数持っておくことが大切とも言われていますよね。1つの場所に執着しないこともこれからの暮らし方には大事な感覚かもしれません。また、今の時代はネットやSNSが普及していて、地方でも海外でもすぐ情報を得ることができますが、きちんと自分の目で見てインプットしないと、いい形でアウトプットすることもできませんよね。目の前にあるワクワクすることもやりながら、たくさんの場所に足を運んで、自分の経験値をもっとあげていくことも必要なのだと思います。
F.I.N.編集部
最後に、ご自身の今後の展望についてお聞かせください。
河田さん
心のどこかで「徳島」を想いながら、もっと海外にも目を向け、海外にもっと徳島の魅力を発信していきたいです。海外や日本各地にも今以上に足を運び、各地の良いもの、ことを取り入れて、自身の仕事や徳島の町に還元できればと思っています。最近では、東京だけでなく日本の地方を訪れたい海外旅行者も増えているので、その方々にも徳島に興味を持ってもらえるよう、観光スポットやローカル体験ができる場所を発信していけるよう、地元の若い人たちとも一緒に協力して盛り上げていけるといいですね。また、これまでは誰かのお店を作るお手伝いが主だったのですが、今後都内にも自分のお店を作ることも考えています。徳島と東京を行き来しながらも、自分の居る場所と好きな場所をつなげることが自分の役割かなと感じています。人と人、土地と土地をつなげる架け橋のような存在になれたらと思っています。
「Deili」
徳島市南内町3-7 高木ビル1F
088-602-7781
水〜金11:30〜17:00、19:30〜25:00(L.O.24:30)、土・日19:30〜25:00(L.O.24:30)
月曜・火曜定休
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