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2021.04.14
未来の住まい定番を発見!5年先のインテリアカタログ。<全3回>
遠隔で働けるようになり、家で過ごす時間がより一層増えました。今後、住まいを考える上で、アクセスの良い土地よりも、部屋を快適に過ごせる家具の方が重要なポイントになるかもしれません。そこでF.I.N.では、理想の住まい環境を追求するクリエイターに「5年先も使いたい家具」についてお話を伺い、未来の心地よい暮らしについて考えました。
第1回目は、建築設計事務所〈オープン・エー〉のディレクター・大橋一隆さん。産業廃棄物から家具を作るプロジェクト〈THROWBACK〉のプロダクトデザイナーでもある大橋さんに、未来の定番になりそうな家具についてお聞きしました。
(イラスト:ミヤザキコウヘイ)
もし僕が作るとしたら、外でも仕事ができるチェアがいいですね。キャンプブームに倣って山に持っていける軽いチェアもたくさん出ていますが、もっと日常使いできるような、家の中で使う「家具」と「キャンプ用品」の間くらいのものを作りたいです。
最近は、リモートワークが一般的になってきていますが、ずっと家の中で作業していると鬱々とした気分になってきます。たまには、外の空気に触れながら仕事ができたら、毎日の気分転換にもなりますよね。具体的には、チェアのアームに折り畳みできる小さなメモ台がついていて、そこにパソコンが置けるようになっている。さらに伸縮性のあるサンルーフが付いていて、陽を遮ってパソコンの画面がきちんと見える仕様だったらいいなと。仕事をするとなれば、充電もできた方がいいので、サンルーフにソーラーパネルを付けたいですね。車輪も付いていれば持ち運びもラクラクです。カフェの代わりに近くの公園に持って行って作業をしてもいいですし、家のベランダでキャンプ気分を楽しむべランピングに使うのもいいですね。このチェアのように、外で仕事ができる環境が整えば、もしかすると公園がコワーキングスペースになって、太陽の下で新しいプロジェクトが生まれるなんて未来が訪れるかもしれません。
うまく使われていない公共空間をどうしたらうまく使えるようになるか、という課題から2020年に〈PUBLICWARE〉というプロジェクトを立ち上げました。Webサイト上では、公園や広場などの空間を楽しく使えるようにするためのツールやプロダクト、イベントなどを紹介しています。例えば、何もない場所に屋台やゲームを置くだけでも、自然と人が集まってきそうですよね。今はまだあまりないのですが、今後はこのチェアのように家具なども提案していきたいと思っています。実は、産業廃棄物を新しいプロダクトに蘇らせるプロジェクト〈THROWBACK〉も同じアプローチで、廃棄されてしまったプロダクトの可能性を最大限に引き出すために、あれこれ想像力を働かせて、新しく価値のあるものに変換しています。公共空間や産業廃棄物のように、既存の空間やものを見つめ直し、それらを活用していく方法を考えると、未来の心地よい暮らしのヒントが見つかるのではないでしょうか。
大橋一隆さん
〈オープン・エー〉ディレクター/デザイナー。産業廃棄物処理会社〈ナカダイ〉とオープン・エーによる共同プロジェクト〈THROWBACK〉では、開発とプロダクトデザインを担当。公共空間を有効活用するためのプロジェクト〈PUBLICWARE〉発起人。
編集後記
ベランダにチェアを持ち出して、読書することはありますが、今回のチェアはより快適そうで、いろいろな場所で使ってみたくなります。家と職場、屋外と屋内など、様々な境界線が薄まってきていますが、未来は更にボーダレスになると思います。その間をつなぐプロダクトが未来に残る家具かもしれません。
(未来定番研究所 窪)
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