メイドインジャパンを継ぐ人。
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2023.02.06
5年後の答え合わせ
2017年に「Future Is Now」を立ち上げてから早5年。目利きのみなさんに、「5年後の定番は?」、「5年先の未来はどうなっているのか」など、さまざまな質問を投げかけてきました。本連載では、その際の回答を元に、答え合わせを行っていきます。
第3回は、「脱SNSとスマートフォン」と答えてくださった、「グローンインザサン」代表取締役の高須勇人さんが登場。5年の歳月を経て、「脱SNSとスマートフォン」は実行されているのでしょうか。未来定番研究所で高須さんにお話を伺います。
(文:船橋麻貴/写真:米山典子)
■5年前の高須さんのご回答
Q.あなただけが気づいている、5年後には定番になっている「もの」や「こと」は何ですか?
僕の希望としては、脱SNSとスマートフォンです。理由は、本質的な勘が鈍ると思うから。SNSやスマートフォンが普及したことで、ものや言葉を飾るテクニックが増えて、見せ方やアウトプットの方法ばかりがうまくなっているように思います。時間をかけてでも現場まで出向いて真実を確かめる学びの方が、SNSの100個の情報より、自分のためになる気がします。情報量が少ないと考える力もつくし、感覚が磨かれるのではないでしょうか。
引き続き、
「脱SNSとスマートフォン」
F.I.N.編集部
ここ数年でSNS疲れという言葉をよく耳にするようになりましたが、高須さんは5年前から「脱SNSとスマートフォン」を掲げてくださっていました。当時、どうしてこの考えに行き着いたのでしょうか。
高須さん
実は脱というか、当時も今もSNSをやっていないどころか、スマホはおろかガラケーすら持っていないんです。仕事の連絡は会社の電話やメール、公衆電話で事足りますし、その必要性を感じたこともありません。SNSもスマホも使ったことがないのですが、現在の風潮的に「いいね」の数でものの良し悪しが決まったり、それで一喜一憂したりするのは寂しいなぁと感じていたし、今もそう思っています。
F.I.N.編集部
5年前にご回答いただいた時は「そもそも使っていなかった」ということだったのですね。この5年の間でその考えは変わらなかったですか?
高須さん
そうですね。一切興味が湧きませんでした。やっぱり情報は自分で手にし、実際に目で見て確かめないと、本質が見抜けないと思うんです。コロナ禍以降はオンライン会議が当たり前になり、自分も仕事で使うことが多々ありますが、やっぱりリアルの場でしか得られない情報がたくさんあります。今日も、こうして谷中の未来定番研究所まで足を運び、普段あまり目にしない街の建築物や風景を見られたわけですから。来る途中に気になるお蕎麦屋さんを見つけたりして。こうしてリアルな場に出向くことは、時間と手間がかかることかもしれません。ですが、その分新しい発見がいっぱいあるんですよね。だから僕は可能な限り、時間をしっかり使っていきたいんです。
F.I.N.編集部
確かに、リアルな場で得られるものって、たくさんありますよね。高須さんがご回答してくださった5年前に比べ、さらにIT化が加速しスマホがなくてはならない存在となり、SNSの勢いも未だ衰えません。こういった現状についてはどう思いますか?
高須さん
スマホを使いこなしている人はたくさんいるし、僕だってとても便利なツールだとは思います。だけど、便利な反面、人間の機能を低下させているのでは…とも感じています。スマホさえあれば、電話番号だって道だって覚えなくてもいい。自分の頭を働かせなくても答えがすぐに見つかるんですよね。要するに、電話がスマートになっただけで、人間をスマートにしてくれたわけではないんですよね。
F.I.N.編集部
なるほど。この先も、スマホやSNSの加速は進んでいくのでしょうか。
高須さん
おそらくこの流れはもう止められないでしょうね。ただ、まわりからは「スマホを手放した」「SNSをやめた」という声が聞こえてきています。だから、スマホやSNSにさらに浸かっていく人と、それらを手放す人、その二極化が進むと思います。
F.I.N.編集部
次の5年間は、どんな「もの」や「こと」が定番になっていると思いますか?
高須さん
僕の願いとしては、引き続き「脱SNSとスマートフォン」です。ひっきりなしに情報が入ってくる状態では、情報の取捨選択がしにくく、いいインプットもできません。僕はスマホとSNSを使っていないですが、毎朝海辺を走ったり歩いたりして、一度頭の中をリセットするようにしています。頭の中を空っぽにすることで、大切なものが入る余白ができる。その結果、いいアウトプット、思考の整理ができるような気がします。
そして、再び「メイドインジャパン」が定番になるといいなぁと思っています。先日、数年ぶりにアメリカに行ったら、コロナ禍の3年の間に日本が取り残されているように感じて、少し危機感を抱いてしまいました。ところが帰国後、よくよくものづくりの現場を見ると、「メイドインジャパン」の商品ってやはり素晴らしいわけです。円安の影響もあって海外の人からしても、手の届きやすい値段なのにクオリティが高い。それに島国という特性上、独自の発展を遂げたガラパゴス的な文化も根づいているから、とくに海外から高い評価を得ています。しばらく、海外に行けずに、久しぶりに外から日本を見た時に、改めて日本のものづくりの素晴らしさを感じました。最近は小さな街の工場や工房の技術の高さに若者たちが惚れ込み、自分たちの新しい感性を取り入れてものづくりを行うというアクションが起こっています。それを僕は勝手に「モダン・クラフト」と読んでいるんですけど。そういう動きが国内でもっと活発になれば、「メイドインジャパン」の価値が改めて見直され、日本の伝統的な技術や製法が継承できると思います。僕自身も「改めて日本でものづくりをしたい」という気持ちが強くなっていますし、再び「メイドインジャパン」が定番になる日が訪れるはずです。
高須勇人さん
「グローンインザサン」代表取締役。
1964年生まれ。カリフォルニア州ウエストモント大学卒。代官山に「G.O.D.」、葉山に「SUNSHINE+CLOUD」「HAYAMA GUESTHOUSE」、奄美大島で「PARADISE+INN」及び「PARADISE STORE」のディレクションを担当。
【編集後記】
スマートフォンで調べ物を始めて、どんどんと関連ワードへと移っていき、気づけば結構な時間を浪費してしまっていたという経験をした人は多いと思います。
取材で高須さんが仰っていた「便利な反面、人間の機能を低下させているのでは…」は本当にその通りだと日々感じています。
これからも益々便利になっていくであろうスマートフォンとどのように付き合っていくのか。スマートフォンを手放すことは難しくとも、少なからずどこかで線引きして付き合っていった方が良いと感じる一日となりました。
(未来定番研究所 榎)
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