日本のしきたり新・定番。<全10回>
2018.07.20
思いを伝える、贈り物の選び方。<全8回>
「お中元」や「お歳暮」といった贈り物はあまりしない方も増えつつありますが、その伝統は今なお続く大切な文化です。一方で、手土産やお土産など、日常の何気ないシーンに贈る気軽なプレゼントの形「カジュアルギフト」の需要が高まっているのも事実。実際に人々は、どんな場面で、どんな想いからものを選んでいるのでしょうか?この特集では、自身の活動から人々に刺激や感動を与えている方たちへ聞き取り調査をしてみました。
初回はギフトコンシェルジュ兼クリエイティブコーディネーターの裏地桂子さんのギフト選びのコツをご紹介。本日からは、さまざまな分野で活躍する皆さんに、実際に贈り物の選び方についてお話を伺っていきます。まずは画家の牧野伊三夫さんから。
牧野伊三夫/画家
1964年北九州市生まれ。 株式会社サン・アド退社後、画家として本格的に活動を開始。書籍・雑誌・広告の挿絵や装丁も数多く手掛ける。美術同人誌『四月と十月』同人。故郷の北九州市が発行する情報紙『雲のうえ』の編集委員も務めるなど、画業を中心に多彩な活動を行なっている。著書に『僕は、太陽をのむ』『仕事場訪問』(港の人)『かぼちゃを塩で煮る』(幻冬舎)など。
贈りたい人:父・母
贈りたいシーン:日頃の感謝を伝えたい時
贈りたいもの:福正宗 酒歳時記 爽涼微発泡
選んだ理由
四季にあわせて年4回、2013年の吟醸新酒からラベル画を担当しています。毎回数点描いてから自分なりに選んで福光屋さんにお渡ししているんですよ。ラベルを描いたお酒が出来上がると毎回両親に送っています。日々の感謝とともに、離れて暮らしているから「元気にしているよ」という報告の意味合いも込めています。実家に帰って驚いたのが、空いた瓶を初回からずらりと居間に並べていたこと。母は、お酒が届くとご近所に「今季の絵はこうだった」と見せに行くそうで、見た方達からのお声もあってたまに追加注文を頼まれることも。昔僕が画家になることを反対していた父も、最近では絵についてコメントをしてくれるようになりました。「良くできている」とか、並んでいるラベルを見て「俺はこれが一番好きだ」などいろいろと言ってくれるんです。まぁ、もともとお酒が好きということもあって。
牧野さんが大切にする贈り物の条件
・自分が欲しいもの
・贈った相手が負担にならない価格帯のもの
僕は、そんな大そうなものは贈ることはありませんが、自分が欲しいなと思うものを贈るようにしています。特に食品は、自分が食べたことがあるものではないと選びません。反対に、食いしん坊だったり、あちらこちらへ旅をして美味しいものを探して回るような人からもらうものは、自分が知らない新しい発見がありますし、とても面白いです。たとえ素朴なものでも、ちゃんと人にすすめる理由があったほうがもらう側も嬉しいのではないでしょうか。あと、“贈り物のお返し”も悩むところですよね。僕の場合、贈り物をいただいたら、まずはお礼の電話をするか、ハガキを出します。いただいたものをハガキに描くのも楽しみの一つですね。
ちなみに、最近自分がいただいて嬉しかった贈り物は、友人がイギリス土産に買ってきてくれた紅茶。とても美味しく、普段はコーヒーを飲むことが多いのですが、おかげで紅茶に目覚めてよく飲むようになりました。
次回は、フォーチュンアドバイザーのイヴルルド遙華さんにご登場いただきます。
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第2回| 牧野伊三夫さんの場合
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