2018.07.14

思いを伝える、贈り物の選び方。<全8回>

第1回| 贈り物のプロに聞く、ギフト選びのコツとは。

「お中元」や「お歳暮」など、私たちの生活から少し遠ざかっているものの、その伝統は今なお続く大切な文化です。一方で、手土産やお土産など、カジュアルギフトの需要が高まっているのも事実。実際に人々は、どんな場面で、どんな想いからものを選んでいるのでしょうか?この特集では、自身の活動から人々に刺激や感動を与えている方たちへ聞き取り調査をしてみました。あなたがいま気持ちを伝えたい人は?その人にどんな贈り物をしたいですか? 贈り物が増えるこの夏限定連載、未来の贈り物について紐解きます。

まずは、そもそもなにを贈ったらいいのかわからない人へ、ギフトコンシェルジュの裏地桂子さんにお話をお伺いしました。困ったときのギフト選びのヒントがありました。

Profile

裏地桂子/ギフトコンシェルジュ・クリエイティブコーディネーター

 

女性誌でライター、コーディネーターとして活躍。ライフスタイル全般に精通し、現在は企業やショップの商品企画、セレクション、プロデュース、ブランディングなどを数多く手がけている。主な著書に『最上級のプチプラギフト 100』(光文社)などがある。

「贈り物は、贈る相手によって千差万別なので、正解はありません。そこでまず考えたいのは、予算感。カジュアルに渡したいものなのか、ちゃんとしたお祝いや挨拶なのか。また贈る相手の年代によっても、金額は変わってきます。ちょっとした感謝の気持ちを伝える贈り物ということであれば、私はプチプラのものをお勧めします。自分も相手もお返しを気にしなくていいけれど、コミュニケーションは広がる。今の時代、こういった気負いしないプレゼントがちょうどいいのではないでしょうか。なので、私はカジュアルなプレゼントの時は、食べ物や消耗品など、いわゆる「消え物」を選ぶようにしています。

そして、次に重要なのが、相手のリサーチ。オーガニックなものが好きなのか、キラキラしたもの、見た目がかわいいものが好きなのか、食べ物に興味があるかなど。いつも爪をきれいにしている人だったら、素敵な色のマニキュアをあげるというように、相手をよく観察することが大切です。男性の場合は、家族の有無は必ず確認を。奥様や娘さんがいたら、彼女たちが喜ぶものをあげるといいですね。「パパすごい!」なんて褒められたり、本人はそこまでわかっていなくても、持ち帰った時に身近な人からいい反応があるとうれしいものです。相手の株が上がるものという視点も大切です。

きっと皆さん、ものを贈るときに「もうすでに持っているんじゃないかな」と思って悩んでしまうのではないでしょうか。そういう時は、自分の地元のものを選ぶといいですよ。地元の郷土料理や伝統的な和菓子、近所で有名なカフェの焼き菓子など、地元が違う人にとっては新鮮ですし、「私もそこの生まれなんですよ」という思わぬ会話が広がるかもしれません。大切なのは必ず自分が食べたり使ってみたりして「これはいい」と思ったものを選ぶことです。

私自身がよく贈り物で選ぶのは、シャンパン、フルーツ、アレンジフラワーなど。ほかにも、一人暮らしを始める若い子には、少しいいシャンプーのセットを選ぶことも。ハンドクリームも、自分では買わないけど、ちょっといいものをもらうと嬉しいですよね。あとはもちろん、定番のとらや、和久傳などはハズレがありません。伝統のある、昔から重宝されているお菓子という、世間的な定番も抑えておくと安心です。

みんなが、「これ知ってる?」「ちょっといいよ」という軽い気持ちでものを贈りあえるようになると幸せですね。私はおすそ分けではなく「お福分け」と言っていますが、そうやって幸せをみんなで分けるという考え方がもっともっと広まっていくと素敵だと思います」。

ギフトコンシェルジュ・裏地さんに聞く

贈り物の選び方3か条

1、日用品や食べ物など、実用的な消耗品

2、地元の名産品など、会話の糸口になるもの

3、自分が試して、実際に良かったと思うもの

次回から、さまざまな分野で活躍する皆さんに、実際に贈り物の選び方についてお話を伺って行きます。まずは画家の牧野伊三夫さんから。お楽しみに。

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