2018.08.13

青江覚峰さんと考える、お盆料理の新定番<全3回>

第3回 みんなで作る・ケーキ寿司

人が集まるお盆だからこそ、みんなで楽しく食卓を囲めるお盆料理の新定番を考えるこの企画。第一回は旬のものを使った料理で、暑い夏を乗り切ろうというお盆の料理、トマトのファルシを、第二回は、昔ながらのいいものを使うというテーマで、玉締めしぼりのごま油を使った射込みサラダを紹介していただきました。最終回の今回は、食卓の主役、お寿司のレシピを紹介します。

撮影・スタイリング:minokamo(長尾明子)

Profile

青江覚峰/料理僧

1977年東京生まれ。浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。株式会社なか道代表取締役。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。ブラインドレストラン「暗闇ごはん」代表。著書に『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『ほとけごはん』(中公新書ラクレ)、『サチのお寺ごはん』(秋田書店・監修)など。

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世代を超えて、みんなで作る料理

青江さん:お盆は、ご先祖さまが帰ってくるから親族一同集まりましょうという機会。大勢が集まったからこそ食べる料理があるんです。その内の一つがお寿司です。お米は、昔から特別な存在でした。例えば、江戸時代の年俸は石高でもらっていました。今も新嘗祭という行事は、お米の収穫祭にあたる天皇陛下が行う大事な儀式になっています。それくらいお米というのは大切な存在なんです。神道でもお米は神様への奉納ですし、仏教でも御仏飯といって、毎朝焚いたご飯を仏さまにあげるという慣習があります。ですから、どの地域でも、昔からハレの日にはお餅をついたり、お寿司を食べたりすることが多かったのです。お寿司は人が集まる場面に最適です。まず、酢飯なので日持ちがする。みんなで食べる席では作ってすぐに食べるとは限りません。お客さんが揃うまで待つ場面もあります。お寿司は冷めても食べられるし、酢が入っていて長持ちし、また時間が経っても食べられるので、夏場でも安全です。また、お寿司は上にどんな具をのせても合うんです。精進寿司で野菜をのせても美味しいし、魚でも、肉でもいいです。お寿司はなんでも合わせることができるから地域で独特な文化ができました。握り寿司や押し寿司、バラ寿司、チラシ寿司、いろんなお寿司があるのは地域ごとに取れる作物に合わせてお料理ができているから。そして、ケーキ型のお寿司にしたのは、出された料理を食べるだけでなく、みんなで飾りをつけて楽しめるお寿司にしようと考えたから。食卓で子供たちが自由にいろんな具を使って、わいわいとケーキ寿司を楽しめたら賑やかで、思い出に残る楽しい時間になるでしょう。今回は精進メニューの野菜寿司を紹介しますが、その土地の特産品や、お好きな具で飾りつけてください。

酢飯

材料(4人分)

ご飯 2合

すし酢 大さじ6

米酢(千鳥酢) 180cc

砂糖(上白糖) 100g

塩(赤穂の天塩) 40g

煎り胡麻 小さじ2

大葉 5-6枚

作り方

1、すし酢を作る。ボウルに材料を入れ、砂糖、塩がきちんと解けるまでよくかき混ぜる。

 

2、3センチ角の昆布を入れ、固めに炊いた炊きたてのご飯を寿司桶に入れ、すし酢を回しかける。うちわで勢い良く扇ぎながらしゃもじで切るように酢飯を混ぜる。

3、酢飯が冷めたら、みじん切りにしてガーゼにつつみ、水の中でもみ、アクを取った大葉といりごまを酢飯に混ぜる。

卵もどき

材料(4人分)

材料(4人分)

絹ごし豆腐 2/3丁 (240g)

クチナシ 2個

砂糖大さじ1

塩 ひとつまみ

菜種油 小さじ1

作り方

1、絹ごし豆腐を手で細かく潰し、フライパンに敷き、砂糖、塩をまんべんなくかけ10分おく。

 

2、豆腐から水気が出てきたらクチナシを半分に割って入れ、さらに10分待つ。

 

3、豆腐から出た汁気が黄色く色づいてきたらフライパンを弱火にかけ、水気がなくなるまで木べらで混ぜながら炒める。

4、水気がなくなったらクチナシを取り出し、油を入れ、よく混ぜたらバットにとり冷やしておく。

ケーキ寿司

材料(4人分)

酢飯 2合

卵もどき 上で作った量

 

A

人参 3センチ

舞茸 1/2パック

油揚げ  1/4枚

 

B

醤油 大さじ1/2

砂糖 大さじ1/2

酒 大さじ2

昆布出汁 大さじ3

作り方

1、Aの材料をみじん切りにし、鍋に入れ、Bを加え弱火にかける。水気が完全になくなるまで煮詰め、火を止める。

 

2、ケーキ型(直径15センチ程度)にラップを敷き、底面にきっちりと丁寧に卵もどきを敷き詰める。

3、その上に酢飯1合分を入れ、上からよく押す。その後1をまんべんなく敷き詰め、残った酢飯を同じように入れ、押す。

 

4、3にかぶせるようにお皿を起き、逆さまにするとケーキずしの土台が完成。

5、好みで野菜を飾り、完成。

未来のお盆って?

今と昔では生活のスタイルや、環境もどんどん変わっています。今は、昔より気温も高くなっていますし、家族のあり方にも変化があります。それに伴って毎年の行事や料理も変化していくのは当然のことでしょう。新しい定番を考えていくときに大事なことは、なぜお盆の時期にこういうものが食べられていたのかという理由を知ることだと青江さんはおっしゃいます。その理由がわかることによって、今の時代への応用ができるようになるからです。それが「温故知新」なのです。伝統を守りつつ、時代に合わせてアップデートしていくことがお盆の新定番になっていき、なんとなく当たり前だった行事が、理由を持つことでもっと楽しむことができるかもしれません。お盆の食事をきっかけに、大勢で囲む食卓の楽しさや、日本で昔から伝わる夏の乗り切りかた、食材の味などを見返すきっかけにしてみると、新しい発見があるかもしれません。

編集後記

お盆は、帰省して親族と会うことが楽しみだと思う方が多いそうです。昔のお盆には、精進料理を親族で集まって食べたそうですが、最近はお供えの分だけ精進料理というご家庭が多いと聞きます。ご先祖様の墓参りをして、夏祭りに参加するというベーシックな過ごし方にプラスして、青江さんのようにご家族と一緒にアップデートされたお盆料理をわいわいしながら作って味わうのも、特別なお盆となるのかもしれません。
(未定定番研究所 安達)

青江覚峰さんと考える、お盆料理の新定番<全3回>

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