地元の見る目を変えた47人。
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2018.07.10
未来を仕掛ける日本全国の47人。
毎週、F.I.N.編集部が1都道府県ずつ巡って、未来は世の中の定番になるかもしれない“もの”や“こと”、そしてそれを仕掛ける“人”を見つけていきます。今回向かったのは、栃木県の宇都宮市。代官山ワークスの丸山孝明さんが教えてくれた、〈農人たち〉代表の宮本暢常さんをご紹介します。
この連載企画にご登場いただく47名は、F.I.N.編集部が信頼する、各地にネットワークを持つ方々にご推薦いただき、選出しています。
”企業家”という農家の新しい姿を模索する人。
ニンニクや春菊、トマトなどの「生で食べられる美味しい野菜」を、農薬不使用(*1)、有機肥料のみで栽培するほか、マルシェ企画、農フェス企画、講演など、食にまつわる様々な企画を行っている〈農人たち〉。立ち上げたのは、大手IT企業から農家に転身した異例のキャリアを持つ宮本さんです。推薦者の丸山さんは、「宮本さんは、農園内にゲストハウス、キッチンスタジオなどを建設したり、都内のレストランへ自ら足を運び、営業やコミュニケーションを積極的に行ったり、様々な食の企画を料理関係者と実施したり……、とにかく普通の農家じゃできないことをどんどんやる方。これからの都市近郊農家には欠かせない能力とアイデアを持ち合わせているスーパーマン的なところに未来を感じました」と太鼓判を押します。早速宮本さんにお話を聞いてみましょう。
*1 栽培期間中農薬不使用
F.I.N.編集部
宮本さん、初めまして。
宮本さん
よろしくお願いします。
F.I.N.編集部
梅雨も明け、暑い毎日が続いていますが、いかがお過ごしですか?
宮本さん
最盛期となった夏野菜の成長を喜びながら、夏と秋の体験イベントに向けて東京と農場を往復しています。
F.I.N.編集部
野菜がおいしい季節になりますね。宮本さんは以前、都内のIT企業で働いていたと伺いました。どんなきっかけでIターンをし、農業に従事することになったのですか?
宮本さん
最大のきっかけは東日本大地震です。ITに関しては今でも有益な技術、道具と考えていますが、IT企業で働いていた当時から、手で実際に触れられて形のあるものづくりへの憧憬が年々高まり続けていました。そんな中、2011年に東日本大地震が起こり、普段当たり前に感じていたものがなくなる不安を目の当たりにして、自分の中でものづくりのスイッチが明確に入ったのを記憶しています。ものづくりをしようと決めた際に、手に触れられてしかも「食べる」農産物が猛烈に魅力的に感じました。
F.I.N.編集部
なるほど。それで〈農人たち〉を立ち上げるに至ったんですね。
宮本さん
はい。農家不足は以前から認識をしていて、社会貢献度も高い取り組みになることもモチベーションを上げる材料となりました。ビジネス視点でも、IT企業でそれまで培ってきたスキルが活かせるのではないかと考えましたね。
F.I.N.編集部
そうなんですね。〈農人たち〉という名前も個性的ですよね。
宮本さん
農(=食)に携わる人たちと連携し、新たな農業モデルを創出したいという思いを込めています。
F.I.N.編集部
Iターンしてきた栃木県の宇都宮市は、どんなところが魅力でしたか?
宮本さん
農業を行う上で自然災害が少なく、土質と水質に恵まれている点は大きな魅力です。また、物流や交流の観点からは、東京とアクセスしやすい距離感が強みですね。
F.I.N.編集部
今、農業をする中で一番大切にしていることは何ですか?
宮本さん
“食べ物”を作っていることを常に意識し、“味”と食べる“人”を大切にしています。常に「この味を実現するためにはどうすれば良いか」、「食べた人が笑顔になれる味か」を起点として農業を行なっています。
F.I.N.編集部
食べ物を受け取る人にもしっかり意識を向けられているんですね。〈農人たち〉は、農業以外にも、マルシェ企画、農フェス企画、講演など、食にまつわる様々な企画を実施されているかと思いますが、今一番力を入れている企画は何ですか?
宮本さん
「農園体験」です。企業、学校法人、行政とコラボレーションして双方の専門性を持ち合い付加価値型の農園体験を行なっています。直近では、埼玉の学校法人さんとのプロジェクトで「農育」を展開していて、埼玉の住宅地にある学園の畑にプロ農家と同じ行程で小学生に野菜作りを学園の先生と共同で教えています。夏には泊まり込みで〈農人たち〉の圃場(田、畑)で農作業と料理体験、自然体験を実施します。完成した野菜は学園で開催されるマルシェでの販売や、学園にあるカフェでメニュー化して地域の方に料理として提供されます。野菜を育てるだけでなく出口までの教育を行っています。
F.I.N.編集部
すごく面白そうです。丸山さんが宮本さんのことを「とにかく普通の農家じゃできないことをどんどんやる方」と教えてくださったのにも頷けます。お仕事をする上で、モットーにしていることは何ですか?
宮本さん
「足るを知る」をモットーにしています。自然に左右されやすいのも農業。「ない」ものを数えて時間を過ごすのではなく、「ある」ものを工夫していく力を付けていきたいとの思いから自身のモットーとしています。
F.I.N.編集部
それが、現在の幅広い取り組みに繋がっているんですね。〈農人たち〉を通して、今後、宮本さんが実現したいことを教えてください。
宮本さん
短期的には、まさに今手がけている内容となりますが、企業や学校法人、個人を問わず「農」に興味関心がある人たちが農作業と食と景観を楽しみながら集うことができるコミュニティとしての「農園」を作り上げたいです。その場を通して、新しい実験的な取り組みに積極的に挑戦していきたいと考えています。中期的には、生産物、加工品の出口となる新たなマーケットを開拓、創造しながら農業者たちが実践的な生産と経営を一貫して学べる「学園」のような場づくりを構築していきたいです。長期的には、自由な発想を持った農業従事者が日本国内外を問わず、有機的なネットワークを築き、多くのベンチャー農業企業を生み出す「仕組み」作りを目指していきたいという思いが強いです。
F.I.N.編集部
なるほど。最後に、日本の農家のあり方や、食の未来について、理想像があれば教えてください。
宮本さん
「農家」=「企業家」というのが個人的には農家の理想的な姿だと考えています。私が他業種から転向したのでなおさら感じるのかもしれませんが、刻々と変わる気候や生き物といった非常に予測し難い多くの変数を抱える宿命の農業は、とりわけ、やりがいや誇りをもてる職業だと思います。各農家=各企業家がそれらの変数と真正面から向き合い、各々が自身のビジョンを掲げ、ビジョンに向かった生産・経営を目指すことが未来の「豊かな食」に繋がって行くのではないかと勝手に想像しています。そうしたことが、日本の農家が多様性を有し、世界がリアルでもデジタルでも非常に近くなった今、日本のユニークな農家や食が世界的に注目されることになるのではないでしょうか。
F.I.N.編集部
農家それぞれがビジョンを持ち、企業家として活躍していくようになれば、農家側、消費者側それぞれにとって豊かな未来が訪れそうですね。ありがとうございました。
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