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2019.07.26

ベビーシッターはもはや「富裕層の御用達」ではない?<全2回>

第1回| スマートシッターの場合

共働きの家庭が増加傾向にある中、特に都市部において保育園の数、保育士の数が追いついていないのが現状です。この保護者の需要を満たすため、今人気を集めているのが、ベビーシッターのマッチングサービス。スマートフォンでベビーシッターを気軽に検索、選ぶことができ即日予約可能なので、急な事情にも対応ができます。また、厚生労働省の推計で約76万人いるとされる「潜在保育士」の活用にも期待が寄せられています。新しい育児の定番「ベビーシッター」の未来について、前編では「スマートシッター」の代表・丸山祐子さんにお話を伺いました。

(イラスト:かみやかやこ)

潜在保育士や現役保育士、専業主婦も。

シッターという新しい働き方

保育業界大手ポピンズグループの「スマートシッター」は、スマートフォンひとつで ベビーシッターをマッチングできるサービスです。シッターの研修やサポートのノウハウなどをポピンズと連携しており、気軽さと安心を兼ね備えた質の高いサービスを提供しています。

 

「保育士や看護師、助産師などの資格を保有するシッターさんが9割をしめ、0歳0ヶ月の乳児や病児保育にも対応しています。初めての子育てに悩んでいる方には、助産師のシッターを選んで、母乳相談や育児相談をする方もいらっしゃいます」

そう語るのは「スマートシッター」代表の丸山祐子さん。料金は通常1時間2,000円からですが、会社の福利厚生や、地方自治体の助成制度、内閣府のベビーシッター派遣事業割引券を使用すれば、かなりお手頃な料金で利用することも可能です。また、「スマートシッター」に登録しているベビーシッターは、保育士などの有資格者を中心に、保育や子育てを経験した人たちばかり。

 

「保育園を離職しても資格を保有している潜在保育士が、日本に80万人いると言われています。シッターは、働く場所と時間をある程度自分で決めることができます。場所と時間が決められてしまう保育士の仕事が難しい有資格者の方も、新しい働き方の選択肢になると思います。それに、専業主婦で子育てが落ち着かれた方も、育児経験を生かしながら空いた時間で収入を得ることができる。シッターは新しい働き方なんです」

 

「スマートシッター」では、今年からシッターさんの報酬当日払い制度を採用し働きやすい環境づくりをすすめています。

 

「シッターとして、しっかり働きたい人もいれば、社会貢献やすきま時間だけ働きたい方もいます。報酬当日払いは、いろんな方に働くメリットを作っていく一貫として始めました。また、今年から昭和女子大と提携し、大学生シッターのインターシップも開始しました。お子さんが小学生なら、年齢の近い大学生に勉強を見てもらうこともできますし、学生は実際の共働き家庭を知ることで、将来のキャリア形成に役立てもらえるのではと考えています」

グループ会社のポピンズは0歳からのナーサリースクールや、学童保育も運営しています。そこに就業する保育士は、希望すればスマートシッターに登録ができ、シッターとしての副業が認められています。

 

「海外では、保育士がシッターを兼業することは、珍しいことではないそうです。保育園で慣れた先生がシッターをしてくれたら、子どもたちも嬉しいですよね。また、ポピンズでは、保育士の残業月7時間以下を目指しています。残業を減らし、自由時間を利用してシッターもできる。保育士の働き方も変えていければと思っています」

5年後は、シッターが家族の一員に

料金が高くて富裕層向けだと思われていたシッターサービスが、手軽に利用できる育児の強い味方へ。さらに5年後の未来、子育てはどうなっているんでしょうか。

 

「スマートシッターは、送迎のみであれば30分からご利用可能です。ご自宅に他人が入ることに抵抗が、という方もまずは送迎のみのご利用も可能で、みなさんに気軽にシッターを利用していただけたら。シッターを利用しながら働くことが、かっこいいと思っていただけるくらいが理想です。今は利用対象年齢が12歳までなのですが、それを将来的には引き上げるかもしれません。小さな頃からシッターを利用して、大きくなっても、お子さんが学校から帰ってきたら勉強を見守ってくださる。そんなふうに、5年後は、シッターが家族の一員のように一緒に子育てをする存在になり、それが当たり前になっているのではないでしょうか」

 

ベビーシッターはもはや「富裕層の御用達」ではない?<全2回>

第1回| スマートシッターの場合