FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

FUTURE IS NOW

川田十夢 
開発者

1976年熊本県生まれ。AR三兄弟。公私ともに長男。通りすがりの天才。毎週金曜日22時からJ-WAVE『INNOVATION WORLD』が放送されている。『WIRED』日本版で毎号巻末に「THE WAY PASSED FUTURE」を連載。3月 文化庁メディア芸術祭 中国・厦門展 2018「CHARACTER』、4月 ワープする路面電車、5月 テクノコントなど、新作の公開が控えている。

共通質問1)あなただけが気づいている、5年後には定番になっている「もの」や「こと」は何ですか?

ARの分野が5年後はインフラとして使われているのではないでしょうね。人々が認識しているARのイメージは、視覚的に画像や空間が立体的になるというものだと思います。現段階ではそれが最新のイメージですが、もっと技術が進化し、次に何ができるようになるかというと、自分が見えたり感じたりしたものを、人に体験させることができるようになると思います。感覚を視覚や聴覚に絞るのではなく、全感覚的になる。いろいろな要素技術を集約して、一瞬にして不可能を可能にすることが正しいARだと思っています。例えば、車は数年後には、空間を把握するセンサーが付き自動運転が一般的になり、ゆくゆくは造形も把握できるようになると言われています。そこで、建築家の視点を車にインストールするとします。そうすると、車が感知した造形が、「あの建物にはどのような歴史があり、だからこの構造になった」と、建築家の視点で解説、分析することが可能になるんです。地図とひとくくりで言っても、経験によって見え方が異なるはず。そのグラデーションを顕在化したい。5年後は、東京オリンピック・パラリンピックの後でもあるので、いろいろなものが一気に進化する時代が来ると思います。これから先、僕も技術者の一員として、技術的なものがそろった上でARをどうしていくか考えているところです。

 

 

共通質問2)あなたが幸せを感じる瞬間はどんな時ですか?

僕が作ったものに触れて、人が喜んでくれた時です。最近でいうと、ある百貨店がリニューアルするということで、そのこけら落とし公演として建物の広場を使いイベントを企画、開発しました。僕が作ったのは、「拡張現実オーケストラ」というARを使った指揮者の疑似体験です。簡単に説明すると、舞台に立ち、指揮棒を持って振ると、その動きに合わせて映像に映るオーケストラが演奏してくれるという仕組みです。そんなアイデアの斬新さとスケール感、有名な交響楽団の協力もあり、結果は大成功でした。イベント初日の公開デモンストレーションに、おばあさんがひとり、緊張した面持ちで並んでいました。声を掛けてみると「いつかやってみたいと思っていたことが、やっと今日、夢が叶うの」と、教えてくれました。おばあさんは晴れの舞台に立ち、見事に指揮を終えました。あとから改めて聞いてみると、まさにオーケストラの指揮者になるのが夢だったそうです。僕はその姿を見て、その話を聞いて、涙が流れそうになるほど感動しました。この仕事をやっていて本当に良かった。自分が作ったものが人の夢の実現につながる時は、心から幸せを感じます。人間の存在を肯定するものを、作り続けていきたいです。

未来問答 No.40

あなたの情報収集の方法を教えてください。

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未来問答 No.39

あなたが未来の可能性を感じる人を1人教えてください。

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未来問答 No.38

新しいアイデアを思いつくのは、どんな時ですか?

環境が変わる時

未来問答 No.37

挑戦してみたい習い事を教えてください。

トレーニング