FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

FUTURE IS NOW

環境が変わる時

深夜ラジオでパーソナリティを務めることになったタイミングで、自己紹介の時に自分のことを“通りすがりの天才”と称することに決めました。開発者として企業から技術的な相談を受けたり、ミュージックビデオを作ったり、うっかりメディアアーティストとして作品の展示を求められたり、お笑いに振り切ってコントを書いたり。色んな仕事していて、一言では自己紹介できません。そこで、どうせなら抜けがいい感じで「ハロー天才です」みたいなほうがむしろ伝わるかなと思ったんです。天才なのは事実だし、むしろ謙遜した言い方なので。環境を変えながらいろいろな業界の人と接していると、自動的にクリシェライン(基本のコードをそのままに和音の一部分のみを変化させるコード進行のひとつ)な考え方になります。音楽理論的に言うと、ベース音が変わるだけで違ったコード進行に聴こえるんです。それと同じで、僕自身が発するメロディのようなものは変わっていないけれど、いろいろな現場に行き環境が変わることで、同じ視点では見えていなかった部分が見えてきます。そして、いつもと違う価値観や考えから、新しいアイデアを思いつくのです。拠点を定めずに動き回ることが、自分にとっていい刺激になっています。

1976年熊本県生まれ。AR三兄弟。公私ともに長男。通りすがりの天才。毎週金曜日22時からJ-WAVE『INNOVATION WORLD』が放送されている。『WIRED』日本版で毎号巻末に「THE WAY PASSED FUTURE」を連載。3月 文化庁メディア芸術祭 中国・厦門展 2018「CHARACTER』、4月 ワープする路面電車、5月 テクノコントなど、新作の公開が控えている。