未来問答 No.32
きものを着たいと思うのはどんな時ですか?

父が大工、母が和裁士という家庭に生まれ育ち、自然と日本文化に興味を持つ。長沼静着物学院にて、一般的な着付けを始め、花魁などの時代衣裳、白無垢などの婚礼衣裳まで、 様々な着付けを学んだ後、着物屋くるり入社。以降7年間、くるりのスタイリング・着付け全般を担当。独立後、フリーランスの着物スタイリスト、着付師として、広告、CM、雑誌などの媒体を中心に活動中。
共通質問1)あなただけが気づいている、5年後には定番になっている「もの」や「こと」は何ですか?
今の着物のルールやしきたりが緩やかになり、いろいろな着姿が増えていると思います。着物というと、どうしても伝統的で堅いイメージが強いのではないでしょうか。これは日本人の国民性だと思うのですが、「こう着なきゃいけない」とルールに従うことが一番だと決めつけすぎているように感じます。実際、街中や電車の中などで、着方や着崩れについて注意されている場面を目撃することも。私は、そこまで堅苦しく考えずに、もっと自分の好きな着方をしてもいいと思っています。もちろん上品さも大切なので、失礼のない範囲で洋服と同じように好きにアレンジをしながら、着物を楽しんでほしいです。また、最近はハッキリと自己主張ができる人が増えたと思います。昔からの習わしが根付く着物も、「自分はこう着たい」と、ルールに囚われることなく、自分なりの着方を続々と増えてくれたら嬉しいですね。
共通質問2)あなたが幸せを感じる瞬間はどんな時ですか?
人に着付けをした時、鏡に写った自分の姿に喜ぶ様子を見た瞬間です。私が思う着付師という仕事は、ただ着物を着せるだけではなく、着せることでその人を輝かせることだと思っています。私が着付けた姿に満足してもらえれば人は幸せオーラが出るけれど、満足のいく着姿ではなかった場合、その表情を曇らせてしまいます。なので、着付けた時に笑顔になっているとホッとしますね。私はそれを見たいから、着付けの最中は鏡を出さず、最後に「はい、どうぞ」と、サプライズ感覚でお客さんに見せるんです。そこでパアッと表情が明るくなるのを見られると、この仕事をやっていて良かったと心から思いますね。着物という職人の魂が詰まったものを皆さんにつなげられる仕事は、すごくやりがいを感じます。日々美しいものを見られますし、それを人に美しく着せることができる。自分が発信者として、この環境にいられることにとても幸せを感じます。