FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

FUTURE IS NOW

華道

華道がいいですね。それは、3次元の立体構成を学ぶことができそうだから。人間は3次元の世界に生きていますが、建築の設計図を平面で書くことからも分かるように、3次元のものを作るために一旦2次元に落として操作し、作るということをしています。しかし、今開拓されているVRによる表現などは、3次元の物体を3次元空間の上で操作するというスキルが必要になってくると思います。また、華道は、美しさのセオリーが確立していることもポイント。植物は太陽に向かって伸びるように、環境によって形が定まるものです。それを加工して、新たに長年の伝統に則って美しく造形することによって、空間上の造形の新鮮な知見が得られるのではないでしょうか。さらには、伝統や流派によって洗練されてきた表現法の中には、新しいメディア表現を捉えるためのヒントも隠されているような気がするんです。僕は日頃から、自分にとって一見必要ではない情報を“ノイズ”として意識的に取り入れるようにしています。例えば家までの帰り道、いつもと違う角を曲がることで、意外な情報が得られることがあります。予定調和ではない、別の要素を取り入れてこそ、自分の興味の範疇が広がったり変わったりすると思うんです。だから、習い事についても自分の興味の外のことに取り組んで、幅を広げたいですね。

 

1980年東京都生まれ。多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師。人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発し、様々なメディアを用いて社会に提案することを活動の主としている。主な仕事に、NHK Eテレ「2355/0655」ID映像、21_21DESIGN SIGHT「単位展」コンセプトリサーチ、21_21DESIGN SIGHT「アスリート展」展示ディレクター。著書に『差分』(共著・美術出版社)、『まなざし』(ボイジャー)、『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(共著・マガジンハウス)、『観察の練習』(NUMABOOKS)。主な受賞にD&AD Yellow Pencilなど。

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