FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

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芸術家の荒川修作さん

大学1年生の時、荒川修作さんの本を読み解くという課題が出たことがきっかけで彼を知りました。本の内容は、仮想で6畳間を作り替える空間作りの話。部屋の中の要素が増え、しまいには6畳の端から端までを移動するのに2時間もかかってしまうというエキセントリックな部屋を荒川さんは提案していました。初めは荒川さんの真意が全く理解できませんでした。しかし、読み進めると、ただ機能的に便利になるということは、必ずしも人間の幸せには直結していないということが書かれているように感じました。一瞬一瞬に刺激を受け、さまざまなものを意識することが重要であり、自分の身体を通じて実践することを教えてもらったんです。荒川さんは残念ながら亡くなっていますが、古いけれどとても示唆に富む考え方だと思っています。便利になることで失うものもあるし、むしろ一見不便なものがオルタナティブな豊かさや、個々人の主体性を生むこともある。この考え方は今私が取り組んでいるまちづくりにも通ずるものだと思っています。僕が大学生の時に出会った荒川さんの思想が、自分が取り組んでいるまちづくりにも繋がっていると思いますし、そんな彼の考え方に未来の可能性を感じています。

NPO法人KOMPOSITIONを起業し、アートやスポーツの支援事業を公共空間で実現。まちづクリエイティブ起業後はMAD Cityを立ち上げ、地方での魅力あるエリアの創出に挑んでいる。

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