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祖母が手作りする山下そば

五島列島の郷土そばを食べることが毎年の楽しみです。私が生まれ育ったのは関東ですが、両親の出身地である長崎県の五島列島には、お正月におせち料理を食べる文化がないので、幼い頃から我が家ではイカの刺身や年越しそばを年末から年が明けて3日頃まで食べ続けるのが恒例でした。食べるのは山下そばという、父の出身地である福江島の富江町山下地区というごく限られた地域で食べられているおそば。家庭ごとに手作りされていて、年末になるとそばを茹でるかまどから湯気が登る光景があちこちで見られるほど地元では定番なんです。職人さんが作っているわけではないので、平べったくて形もいびつですし、食べていると途中でプチプチ切れてしまいます(笑)。でも私にとってはソウルフードのようなもので、その素朴な味が大好きなんです。まだ自分で作ったことはないので、初めてお正月を富江町で過ごす今年は、ぜひ山下地区に行って祖母から作り方を教えてもらおうと思っています。

1987年東京都生まれ、埼玉県育ち。大学卒業後、昼間はコンサルティング会社でOLとして働きながら服飾の専門学校に3年間通う。卒業後、コレクションブランドのプレス担当を務めた後、2015年に長崎県五島市の地域おこし協力隊として、両親の故郷である福江島に移住。親族の所有している古民家を活用し〈te to ba〉プロジェクトを立ち上げ、1階には「食と健康」をテーマにしたカフェ、2階にはウェディング事業の事務所を2017年1月にオープン予定。