私は、中学生になるまで既製の服やバッグを買ったことがないんです。何から何まで、母の手作りでした。たまに母に連れられて、当時、池袋にあったキンカ堂という生地屋さんに行くと、生地やボタン、ファスナーなどの自分の服の素材を、「全部あなたが自分で好きなものを選びなさい」と言われるんです。今考えると、自分の好きなものが何なのかを、しっかりとセレクトする目を教育させられていた気がします。私も、色とりどりの生地を見られるので楽しかったですね。買い物の後で、デパートの屋上でソフトクリームを食べるという別の楽しみもあったのですが（笑）。他の子供たちとは持ち物が全然違ったので、当時は少し違和感もありましたが、振り返ってみると、この母の教育がファッションの道に進むきっかけになったと思います。