FUTURE IS NOW

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新調したいものがない

この質問を見た時、ちょっとハッとしました。「私、新調したいものがない!」と。というか、 “新品の時がいちばん美しいもの”を美しいとも、欲しいとも思わない自分がいます。バブル世代なので、キラキラとしたハイエンドなものやサービスが大好きだったはずなのですが……。求めるとしたら、自分が使い込んで10、20年と時間をかけて唯一無二のすてきなアイテムに育てたいもの。大量生産品ではなく、時間がゆっくりと流れていた時代に丁寧に仕事がされたものや、誰かが大切に使っていたものに惹かれます。その延長線で民藝品にも惹かれていて、今は廃業した実家の旅館の倉庫に、大正時代の塗りの折敷やお椀など、年月を経ても魅力的なものがたくさんあるので、改めて母と一緒に物色しています。また、最近、“家庭内ヴィンテージ”もあると気付きました。例えば、30年前に初めて買ったエルメスのスカーフなんて、立派なヴィンテージ品ですよね。新たに欲しいものがないのは、もしかしたら割と多くの人が感じていることな気がして、「それってどういうことなんだろう?」「そこに何か次の時代のヒントがあるのかな?」なんて考えたりしています。

代官山で料理教室〈RIKO’S KITCHEN〉主宰。テレビや雑誌でも、旬を活かした、ちょっとモダンでシンプルな家庭料理を紹介している。近著は『酔っぱらってても作れる 10分おつまみ』(カドカワ刊)。『明日から料理上手』(小学館)『いっしょに作るから、朝がラク!今日の晩ごはん と 明日のおべんとう』(家の光協会)など、著書多数。
http://rikoskitchen.com/