FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

FUTURE IS NOW

映像作家の橋本麦さん

自分よりも若い人にはみんな可能性があると思っています。例えば、僕が今からサッカーの日本代表選手になろうとしても絶対に無理ですが、今日生まれた人であればなれるかもしれませんよね。これから生きていく時間の長さに、可能性があるという風に考えています。中でも、自分が関わる映像の分野で最近気になっているのは、映像作家の橋本麦さんです。新しい表現を生み出そうとする時に、その作り方や道具から考え、開発しているところが素晴らしいと思います。例えば、文章を書くということで考えてみると、400字詰めの原稿用紙に書いていたら、知らないうちに400字ごとに展開を考える癖がついているかもしれないですよね。でも、すごく長いロール状の原稿用紙であれば、もっとフラットに書けるかもしれません。つまり、ツールによって思考は変わる可能性があるということ。橋本さんは、既存のツールが表現や発想を狭めてしまう可能性を乗り越えるために、自分のアイデアを実現するための撮影方法を作るところから考えているんです。本来、何かを表現するというのは、その方法や道具自体も含めて考えるべきだと思います。ですから、今後はツールや作り方から開発するという流れになってくるのではないでしょうか。

1980年東京都生まれ。多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師。人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発し、様々なメディアを用いて社会に提案することを活動の主としている。主な仕事に、NHK Eテレ「2355/0655」ID映像、21_21DESIGN SIGHT「単位展」コンセプトリサーチ、21_21DESIGN SIGHT「アスリート展」展示ディレクター。著書に『差分』(共著・美術出版社)、『まなざし』(ボイジャー)、『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』(共著・マガジンハウス)、『観察の練習』(NUMABOOKS)。主な受賞にD&AD Yellow Pencilなど。

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