おいしいだしをひく
元日の朝、1年で最初の“一番だし”をひくことが楽しみです。その年、最初にひくだしが上手にひけたら、いい年になると決めていて、毎年、人生で一番素晴らしいだしをひこうと密かに決意してのぞみます。楽しみというより、自分の中の密かな願掛けですね。新しい年を迎えた部屋に広がるだしの香りも、ごちそうのひとつだと思います。私の出身地、長崎市のお雑煮は、海の幸、山の幸とふんだんな具材が特徴。わが家では、唐人菜、ブリ、海老、かしわ、紅白の板付け、手まり麩、伊達巻、丸餅に一番だしが定番でした。都内に住む今でも元旦にはこれを作ります。お椀も大きめで、祖父の代のものを譲り受けて使っています。具材ごとにすべて前日に下ごしらえをしておき、昆布も水につけておきます。そして元日の朝、だしをひく。来年も、今までの中で一番おいしいだしをひきたいと思っています。
代官山で料理教室〈RIKO’S KITCHEN〉主宰。テレビや雑誌でも、旬を活かした、ちょっとモダンでシンプルな家庭料理を紹介している。近著は『酔っぱらってても作れる 10分おつまみ』(カドカワ刊)。『明日から料理上手』(小学館)『いっしょに作るから、朝がラク!今日の晩ごはん と 明日のおべんとう』(家の光協会)など、著書多数。
http://rikoskitchen.com/