FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

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インプットを積み重ねた後

才的に突然アイデアが降ってくるというようなことはなく、他の業種の方とお会いしたり、本を読んだり、YouTubeで講演を聞いたりしてインプットを積み重ねた結果、ある時ふと思いつくことが多いです。逆に、パン職人として良いパンを作ろうと工房に立っている時は、パン生地と自分の1対1の勝負。その時々で、菌や酵母が訴えかけてくることを素直に受け入れないといけないので、頭であれこれ考えたりアイデアを思いついたりすることはありませんね。私が、これだと思ったアイデアを思いついた瞬間は人生では数えるくらいしかなくて、特に大きかったのは、岡山から鳥取へのお店の移転。工房が狭さや製粉機の故障、質の良い水の確保、さらには地域内循環の実現に向けて考えあぐねていたところ、思い切って場所を変えるのがベストなのではないかと思い立ちました。人生を変える大きな出来事でしたね。

1971年東京都生まれ。23歳で学者の父とハンガリーに滞在。食と農に興味を持ち、25歳で千葉大学園芸学部に入学。新卒で農産物流通会社に就職するも、31歳でパン職人の道へ。渡邉格ならではのパンづくりを追求し、麹菌採取の道に目覚める。また、10代でパンクバンドに費やしたエネルギーが、起業後にはパンク的DIYに発展。大工仕事を覚え、可能な限り自力で店の改装を行う。著書に『田舎のパン屋が見つけた「腐る」経済』(講談社)。同書翻訳本が韓国でベストセラーに。台湾、中国でも翻訳され、国内外で講演活動も行っている。

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