2019.05.23

付き合って6割が結婚? マッチングアプリの未来

いつの時代も人の心を躍らせるのが恋愛。かつては、偶然の出会いや学校、職場、お見合いに頼っていた恋の始まりも、現在では、指先ひとつで運命の人を見つけるマッチングサービスが一般的になりました。

 

マッチングアプリを展開する「Pairs(ペアーズ)」は、現在、累計会員数が1,000万人に達し、20万人以上が恋人を見つけ、退会者向けのアンケート結果によれば、約60%が入籍済み、もしくは結婚の予定があると回答。これからの未来、テクノロジーによって「出会い」はどう変化・進化していくのでしょうか。株式会社エウレカ取締役CPO/CMOの中村裕一さんに伺いました。

Profile

中村裕一/株式会社エウレカ 取締役CPO/CMO

2010年、横浜市立大学を卒業後、翌年大学院を中退。

その後株式会社エウレカに入社し、大手化粧品企業向けの口コミ広告事業に従事。2012年、同社マーケティング事業部のマネージャーとして、企業のFacebookを活用した集客支援を行う。Pairsの立ち上げとともに、Facebookページの集客事業の立ち上げ、1年間で250万人を超えるファンを獲得、リーチ数で国内No.1ファンページに育てる。2014年、執行役員CSOに就任。2016年、取締役CPO/CMO就任。

恋の軌跡がデータとなって

クリーンで健全なサービスを実現

F.I.N.編集部

恋活・婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」は2012年にスタートして、7年目で会員数の累計が1,000万人を突破しました。これは当初から予想していましたか。

中村さん

事業開始当初、日本ではおそらくアメリカの1/3くらいの規模にはなるだろうと予想していました。その頃すでに、アメリカではマッチングサービスが成功して一般的になっていたのですが、日本では真剣な恋愛の相手を探すサービスがなかった。それはなぜなんだろう、という具体的な理由を考えるところから「ペアーズ」が始まりました。

F.I.N.編集部

日本では「出会い系」のようにインターネット上のマッチングサービスにネガティブなイメージがつきまとっていました。それはどのように払拭されたのでしょうか。

中村さん

まず、真面目な出会いを求める方へのサービスでありたいと考えました。婚活に限らず良い人と出会って恋愛をして、たとえ別れてしまったとしても「あの恋愛は良かった」と思える出会いを生み出したいと考えたんです。まず、そのために”安心で安全”なサービス作りに努めました。具体的には、パトロールによる違反者の徹底、投稿監視業務の強化、違反者情報を利用したシステムによる検知です。現在では、違反者データが7年分蓄積していることからも、事前に違反者を予測することも可能になりました。

F.I.N.編集部

では、相性の合う相手を見つけるためのシステムはどのように?

中村さん

Pairsで、いいね!した相手、マッチングした相手、退会して恋人になった相手の情報などを利用して、相性を導き出し、アルゴリズムを作っています。

F.I.N.編集部

ということは、ひとつの恋愛が、他の誰かの役に立っているということですね。

中村さん

そうとも言えますね。これまで1,000万人以上の方が利用してくれたので、その膨大なデータの蓄積によって、年々リコメンドアルゴリズムも進化しています。

F.I.N.編集部

ちなみに「結婚できる人の特徴」はありますか?

中村さん

確実に言える特徴はありませんが、ユーザーインタビューなどで特徴的な方は、結婚までの期限を設けている人ですね。1年以内に結婚している人の中には、「結婚するために、1ヶ月に30人に合うことを3ヶ月続ける」といったルールを決めて使い始めていた方が多くいました。なんとなくで続けると「もっといい人が現れるのでは」といつまでも相手を探し続けてしまう。ずっと会員でいてくださるので、それはそれでありがたいのですが、本気で結婚したいなら期間を決めてサービスを利用するのもひとつの方法です。

5年後は結婚への

ソリューションが多様化している

F.I.N.編集部

現在、婚姻率(人口1000人あたりの婚姻件数)の減少傾向が続いており、2018年は4.7でした。

中村さん

これについては、簡単に解消できる問題ではないと思っています。僕らがどう頑張っても歯止めをかけることは難しいでしょう。ただ、減少率の傾きをなだらかにすることはできると思っていますし、僕らは今もそうしているという自負はあります。

F.I.N.編集部

この7年で、結婚を希望される方に変化はありましたか?

中村さん

サービス利用者の中心が20代後半〜30代前半であることは変わらないのですが、7年前にオンラインでの出会いは日本全国に広がっていますし、職業や年齢層も多様化しているので、傾向を割り出すのは難しいですね。年齢の話で面白いのは、デジタルネイティブ世代の大学生たちはツイッターの裏アカ(ウント)を4つくらい持っていて、どんな友達と繋がりたいか、誰と出会いたいかで、アカウントごとに人格を変えているそうです。そんなふうにインターネットを自由に使いこなす世代でも、結婚は29歳までにはしたいそうです。その理由は彼らの親の世代もそうだったから。一方では、仕事を始めてから恋愛に囚われたくないと、就職前の22歳までに結婚をしたいという大学生もいます。それから、フェスで知り合ってLINEとスカイプだけで関係を深める「通信恋愛」もあるそうです。寂しい夜は連絡を取り合えるし、デートをしないからお金もかからない。付き合っているかというと微妙な関係らしいのですが。以前なら「付き合う」かどうかの二択だったのが、その中間がたくさんあり、恋愛が多様化していると感じます。

F.I.N.編集部

恋愛の形態が変化する中で、5年後の婚活はどんなふうに変化していると思いますか?

中村さん

多様化する恋愛観・結婚観に伴って、結婚へのソリューションも多様化するでしょう。今でも、お見合いや上司からの紹介、結婚相談所、街コン、オンラインゲームやツイッター、それからマッチングサービスなどがありますが、新しい恋愛の価値観に対応したサービスが登場するでしょうね。「ペアーズ」としては、さらにデータが蓄積するので、事実婚や再婚も含めて、パーソナライズした、よりよいレコメンドができるアルゴリズムになっていると思います。グルメアプリと提携してデートが決まったらすぐにレストラン予約できたり、デート服のコーディネートのサポートができたりと、サービスが拡大しているかもしれませんね。それからマッチングアプリが一般化すると、遠距離の人と出会う機会も増えるわけですが、そうなると住む場所が結婚へのハードルになります。そのためには、引っ越しや、転職のサポートも必要です。サービスの成長により提供する価値の幅も変化していくと考えています。

F.I.N.編集部

LGBTQの方向けへのサービスはいかがでしょうか。

中村さん

アメリカでは、LGBTQ向けのサービスが成功しています。たマッチングサービスは現在、欧米が先行しているので、これからも日本はそれを追っていく形になると思います。そうすると確実なのは、パーソナライズの拡充。アメリカでは、性的指向や民族、宗教でも検索できるアプリもすでに成功を収めています。日本では機微情報に当たるので難しいのですが、そういったアプリも登場するかもしれません。そうなった場合、例えば「ペアーズ」をメインで使って、ニッチに検索できるアプリも併用するなど、サービスの2個使いも一般的になるでしょうね。そんな風に多様化する中で、僕らは5年後もマッチングアプリの主流であり続けたいと思っています。

編集後記

中村さんのお話の中で一番驚いたのが、最近の大学生たちは「通信恋愛」という恋愛の形もアリ!という感覚を持っているということ。通信技術が、人との出会い方だけでなく恋愛のバリエーションまでも増やしているのですね。

(未来定番研究所 菊田)