FUTURE IS NOW

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お祭りへ行く時

昔、毎年参加していた地元の春祭りがありました。本祭りの前夜に行われる「宵宮」では火祭りが行われ、4つの集落から中央の神社に順々に集まってくる法被姿の男たちが、無病息災と豊年満作を祈願して、巨大な松明を担ぎながら鐘や太鼓を打ち、乱舞します。酔った勢いでお客さんのほうになだれ込んでいったり、それはもうすごい迫力なんです。そして、翌日の本祭になると、昨日暴れていた男たちが今度はキリッとした着物姿で神輿や神具を担ぎ、別の神社へと練り歩きます。衣装が変わっただけで不思議とみんな伊達男に見えるんです。その姿に憧れを抱いてから、僕にとってお祭りと着物はイコールでつながっています。郷里のものだけではなく、全国あちこちの祭礼に興味がありますね。去年は『暮しの手帖』で毎年2月末に開催される福井県勝山市の火祭り「勝山左義長」を取材しました。やはり伝統的なお祭りを見ると、自分も着物姿になって本格的に参加したくなるものですね。お祭りって、地域の伝統がすべて詰まっているので、親、子供、孫など縦のつながりを育みつつ、文化や地域の習わしを伝えていく良い機会だと思います。

1957年滋賀県生まれ。76年、上智大学外国語学部フランス語学科に入学。 在学中より『本の雑誌』の配本部隊に参加、椎名誠が主催する「怪しい探検隊」にドレイ隊員として参加し、以降師事。 82年、マガジンハウスに入社。宣伝部を経て、『BRUTUS』、『Tarzan』、『olive』各誌を編集後、書籍部編集長に。本業の傍ら、執筆、映画プロデュース、短歌会の主宰など精力的に活動。退社後、フリー編集者兼主夫業を経て、2016年1月、『暮しの手帖』80号より編集長に就任。

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