FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

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中上健次の著作(『一九歳のジェイコブ』『紀州』『熊野集』など)を読むこと。

暑い夏が来ると中上健次を読みたくなります。そして舞台となった熊野の風土のことを思うんです。中上健次さんは「影」や「間」や「襞」の描写がすごくて、だからこそ生が輝いています。時にはギラギラするくらいに。紀州の自然が深く美しく描写されています。思いを馳せるだけでは飽き足らず、思い余って熊野へ出かけてしまうこともあります。今でも自分の中で光っている美しい思い出です。旅をして本を読むと、思い出と書物が重なって一緒に旅ができます。僕は夏だからと涼しいところへ行って涼感を味わうというよりも、むしろ暑い中に飛び込みたいタイプ。熊野の暑さは東京のまとわりつくような暑さとは違い、透き通った暑さなんです。

長野県生まれ。ガーデンプランナー、フラワーアーティスト、グリーンディレクターとして、作庭から花活け、オフィスのgreeningなど空間編集を手がけ、赤坂氷川神社の花活け教室「はなのみち」の講師も務める。温室のオフィスにてトークや演奏会、さまざまな講師を招いて「TERRAIN VAGUE(都市の空き地)」も定期的に開催している。
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