FUTURE IS NOW

時代の目利きたちの“今”から未来を探るメディア

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一冊の本が運んできた出会い

2016年12月に出版した書籍『言葉の宇宙船 わたしたちの本のつくり方』をきっかけに起きた出来事です。この書籍の制作チームはアートディレクターの芹沢高志さんや写真家の港千尋さんをはじめとする5名のメンバーで、私は編集担当として参加。“本のつくり方をつくる”ために対話を重ね、編集会議や制作中に考えた事柄のキーワードエッセイなど、1冊の本ができるまでの過程を集録しました。そうしてできたこの本を、ふたりの女の子が丁寧に読み込んでくれました。ちょうど彼女たちは文藝誌『園』の創刊準備をしていて、ひとり1冊わたしたちの本を持ち歩いては、線を引き、書き込みをしては意見を交わしてくれたそう。その後、本はそうした出会いの集積でできていると思い、メンバーがこれまでに影響を受けた書籍をリストにしたリーフレットを、書籍に付けることにしました。そうしたら、ちょうど同じタイミングで完成した『園』のフリーペーパーも、同じようにブックインブックという、本に別冊を挟み込む形を取っていたんです。本を読む経験について考え抜いた結果、同じ形式に至ったわけです。これは偶然の一致ですが、きっと同じようなことで悩んだんだろうなと、仲間を見つけたような嬉しさを感じました。

1985年埼玉県生まれ。在学中からasobot inc.に参加し、ディレクターとして、企画・編集・地域のリサーチを行う(2014年まで)。2006〜2010年、NPO法人シブヤ大学の企画・運営・姉妹校立ち上げを支援。2014年5月〜2015年12月までオルタナティブスペース「undō」代表を務める。近年は、ABI+P3共同出版プロジェクト『言葉の宇宙船 わたしたちの本のつくり方』、Art Support Tohoku-Tokyo『東北の風景をきく FIELD RECORDING』など、さまざまなプロジェクトに伴走しながら編集を行っている。